市場調査会社TrendForce社の最新レポートによると、DRAM市場全体で2桁の価格上昇が今後も続くと予測されており、RAMの値上がりが今後も続くようだ。
TrendForceによると、PC向けDRAMの契約価格は2024年第1四半期に10~15%上昇し、サーバー用DRAMとグラフィックス用DRAMの価格も同程度に上昇するという。しかし、最も値上がりが大きいのはモバイル部門で、同じ期間にDRAM価格は18~23%上昇するとのことだ。
TrendForceはDRAM契約価格の上昇は、“不確実性”に起因するという。ここでいう不確実性とは、DDR4とDDR5のような様々なタイプのDRAMの需要ミックスの事を指し、これがメーカーの計画に複雑さがもたらしているという。
PC向けDRAMについて、TrendForceは「市場はDDR5の未達成注文で賑わっている」と分析している。先ほど述べたように、DDR4とDDR5の需要と生産のバランスが不透明であることが、価格を押し上げる要因となっている。サーバー用DRAMも、GDDR6のようなグラフィックスDRAMと同様に、2024年第1四半期に同様の価格上昇が見られると主張している。
サーバー向けDRAMについて、メーカー各社は利益率を高めるため、DDR4からDDR5への切り替えを促したい考えだ。DDR4の供給を戦略的に抑制する一方でDDR5の増産を進めており、サーバー向けDRAM 契約価格は10~15%上昇する見通しである。
モバイルDRAMは、契約価格が歴史的な低水準で推移しているためバイヤーは安全でコスト効率に優れた在庫を積み増しており、購買力を高めているという。ただ、積極的な購入とは裏腹に、スマートフォン市場の不透明感が長引く中、メーカー各社は慎重に対応し、増産を急いでいない。この状況はメーカーに有利な状況を生み出し、この第1四半期中に18~23%上昇すると報告している。
コンシューマー向けDDR4 DRAM市場(スマートTV、コンソール、セットトップボックスなどのコンシューマー機器向けメモリーチップ)でも同様の上昇が見られると思われる。これらのチップは第1四半期に10~15%上昇する見込みだが、コンシューマー向けDRAMに使用されるDDR3の価格上昇は8~13%と推定され、それ以下となる。
DRAMメーカーは、価格を押し上げるために生産量を削減しているが、ライバル企業の出方によっては目論見が外れる可能性もあるだろう。DRAM製造のライバルは、需要を押し上げるために、ビット生産をより安くする新技術を導入する可能性があるからだ。また、中国を拠点とするような新興の競合他社は、既存のメーカーが生産を控えていることを絶好のチャンスと捉え、増産に踏み切る可能性もある。
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