Googleは、先週リリースされた同社開発のWebブラウザ「Chrome」の最新バージョン99において、macOS向けChromeが「AppleのSpeedometerでこれまでのブラウザの中で最高のスコアである300を達成した」と、同社公式ブログにて報告している。
Chromium Blog : A new speed milestone for Chrome
Googleはブログの中で、Chromeを “最速のブラウザ “にするために過去数カ月間に導入された技術的改善について説明している。Googleによると、最新版であるChromeのM99リリースでは、すべての主要なプラットフォームでブラウザの速度を「大幅に」向上させることができたという。
今回Googleが成果の一つとして挙げているのがApple独自のベンチマーク、「Speedmeter」において、Chromeがスコア300を達成したことだ。AppleのSpeedometerベンチマークは、実世界のユーザーとのやりとりをシミュレーションしてパフォーマンスを測定するために2014年に開始され、以来、ブラウザとハードウェアの両方でパフォーマンスを測定するための標準となっている。Speedmeterバージョン2.0(2018年リリース)の現在、広く報告されている最高スコアは、MacBook Pro M1 Max上のSafariが保持する277となっていた。しかし、今回Google ChromeのM99リリースでは、ついに悲願の300を達成したとのこと。
特にThinLTOを有効にしたことが大きかったという。これはブラウザの速度に焦点を当てたコードを優先的にビルドする最適化手法だ。これにより、Safariに比べて約7%のスピードアップを実現している。またパススルーデコーダとアウトオブプロセス(OOP)ラスタライゼーションの実装により、グラフィック性能ではSafariに比べて15%の向上が見られるという。
また、旧来の改良もChrome全体のパフォーマンス向上に大きな影響を与えている。グーグルは、2021年初頭に導入された新しいV8 Sparkplugコンパイラーが、JavaScriptの動作を23%高速化したと評価している。また、M1 Macは、短いビルトインコールの実装により、特に改善が大きかったという。
Speedometer 2.0ベンチマークにおけるこの成果は、技術的にはAppleのハードウェアに依存している部分も多いかもしれないが、Chromeのコードベースに対する数々の改良は、あらゆるOSやハードウェアプラットフォームで実感することができている。例えば、Android上のChromeは、UIスレッド上のナビゲーションの再優先化によりページの読み込みが15%速くなり、昨年追加されたフリーズドライのタブにより起動が13%速くなっているとのこと。同様に、Windows版Chromeでは、他のウィンドウに隠されているウィンドウの扱い方を変更したことで、起動速度が向上している。
Chromeの起動が速くなったことは体感的には分からない部分も多いかもしれないが、少なくともテストではその差は明らかだ。またブラウザが高速化することで、ウェブアプリケーションが複雑化し、数年前にはブラウザで実行することが無謀であったような、より強力な機能を実現することができるようになるだろう。
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