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CERNの実験が磁気モノポールの発見に繋がるかも知れない

物理学者たちは、宇宙には磁気モノポール(磁気が存在すると考えている。磁気モノポールとは、磁石のN極またはS極のみの磁荷を持つ物質だ。これが最近、欧州原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)による新しい実験データによって、エネルギー空間のどのあたりに存在する可能性があるのか、ある程度絞り込むことが出来る様になってきたのだ。

ATLASは、LHCで最大の汎用粒子検出器であり、これまで観測されなかった現象を検出する使命を担っている。この共同研究はヒッグス粒子の発見に貢献し、とらえどころのない磁気モノポールにも焦点を当てている。

磁気モノポールとは

地球そのものから冷蔵庫の小さな磁石に至るまで、私たちが知っている磁石には北極と南極がある。同じ極は互いに反発し合う。磁石を触ったことがあるなら自明のことだろう。

そこで、磁極が1つしかなかったらどうだろう?磁気モノポールと呼ばれるものの存在を提唱したのは、物理学者Paul Diracだった。Diracは、その存在が量子力学と矛盾しないことを示し、実際、宇宙のどこかにある単一の磁気モノポールが、そうでなければ説明できない電荷の特徴を説明できることを示した。Diracは、単一磁極を含む可能な最小の磁荷は、電子の電荷の68.5倍であると提唱した。より大きな単極は、その倍数でなければならない。

科学者たちはまた、磁気モノポールは初期宇宙にも存在していたかもしれないが、宇宙が初期段階で指数関数的に膨張するにつれて希薄になった可能性も示唆している。そのため、ATLASの研究者たちは、LHCのデータから磁気モノポールを見つけ出そうとしている。

CERNのATLAS共同研究チームは、陽子同士の高エネルギー衝突が4TeVまでの質量を持つ磁気モノポールを作るには、2つの方法があるのではないかと考えている。それぞれ、陽子が仮想光子(電磁力を伝える粒子間の仲介物)を放出することに依存している。一方では仮想光子が単独で磁気単極子を作り、もう一方では2つの光子が相互作用して単極子を作る。どちらの場合も、「マクスウェル方程式の壊れた電気と磁気の二重対称性を回復させる」と共同研究者は指摘している。

ATLASは、検出器に電荷が付着しているかどうかを調べることで、その証拠を見つけたいと考えている。磁気モノポールは電子よりもはるかに大きな電荷を運ぶ必要があるので、その電荷はより身近な素粒子の電荷よりも目立つはずである。

大型ハドロン衝突型加速器(LHC)のデータは分析に時間がかかる。ATLASは、2015年から2018年までのLHCの2回目の運転に基づく論文のプレプリントを、まだ査読を通過していない段階で発表した。磁気モノポールの証拠は見つかっていないが、研究チームは、最小の磁気モノポールの可能な質量/エネルギーとその生成率を3分の1に絞り込んだと考えている。

これまでにも研究者らは何度も何度も探しているものが見つからないと報告している。「限界を狭めた」と世界に言うことは、失敗を正当化するように聞こえるかもしれない。しかし、ヒッグス粒子の探索でも同じパターンが見られ、最終的には見事な成功を収めた。ヒッグスと同様、磁気モノポールを発見することは、その存在を予言する理論が正しいことを証明するためだけでなく、発見された質量が競合する理論を区別するためにも重要である。研究チームは磁気モノポールの証拠を見つけられず、現在、Run 3のデータも分析しながら、戦略を修正しようとしている。


論文

参考文献

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