EUがUSB-Cを地域共通の充電規格とすることを決定したとき、この義務化によって最も影響を受けるのは、言うまでもなくAppleだろう。同社はすでにiPadにUSB-Cポートを搭載しているが、同社最大の稼ぎ頭であるiPhoneはいまだにLightningコネクタにこだわっている。
だが、ついにAppleも観念するようだ。同社のマーケティング責任者であるGreg Joswiak(グレッグ・ジョスウィアック)氏は、同社の最も人気のある製品であるiPhoneが、EUの義務に準拠してUSB-C充電器とともに出荷されることを確認したとBloombergは報じている。
EUの推計によると、この地域の消費者は毎年25億ドル以上を単体の充電器に費やし、廃棄される充電器だけで1万1000トンの電子廃棄物を発生させている。環境と経済への影響を軽減するため、EUは現在、すべての電子機器にUSB-Cポートの搭載を義務付け、1つの充電器ですべての電子機器に対応できるようにしている。
Appleはこれまで、他のメーカーが採用しているような統一された充電器ポートを採用してこなかった。その代わり、Lightning端子と呼ばれる独自のコネクタを自社のデバイスで使用しており、この動きに反対すると予想されていた。
この問題について数カ月間沈黙を守っていたAppleは、事態を収拾し、今後は義務付けに従うようだが、Joswiak氏は遵守のためのスケジュールを正確には明示していない。
カリフォルニアで開催されたWall Street Journalのカンファレンスで、Joswiak氏は、以前、EUがマイクロUSBを共通ポートとして採用しようとしたとき、Appleと対立したことを振り返った。「もしAppleがその時に合意していたら、Lightningポートや、今EUがすべてのデバイスに搭載することを望んでいるUSB-Cは発明されなかっただろう」と述べている。
Appleは「イノベーションの阻害」を懸念材料として単一ポートの義務化に反対してきたが、長年の反対を経て、今ではEUの路線に従う用意があるようだ。これは、すでにMacやiPadなどのデバイスをUSB-Cポートに切り替えているAppleの内部戦略の反映でもあるのかもしれない。
iPhoneのUSB-Cコネクタへの切り替えは、EUの義務化がAppleの計画をわずかに押し上げているに過ぎないのかも知れない。EUの動きに続いて、アメリカの上院議員もデバイス間の充電器ポートの統一を推進し始めており、インドやブラジルなどの国も同様の動きを検討していると、Tech Crunchは報じている。
EUの新たな指令により、Appleは2024年末までに同地域でUSB-Cポートを搭載したiPhoneとiPadを出荷しなければならなくなっている。
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