Amazonは、ポータブルでモジュール化された新しいAWSデータセンターを公開した。これは「AWS Modular Data Center(AWS MDC)」と呼ばれるもので、基本的には輸送用コンテナに詰め込まれたデータセンターである。コンパクトな設計により、船舶、貨物を使って世界中のどこにでも輸送することが可能となっている。また、サイズが小さいため、軍用貨物機で空輸することも可能だ。Amazonによると、MDCは、遠隔地でペタバイト級のデータを処理する必要がある国防総省を支援するために設計されたという。
MDCモジュールは、標準的な輸送用コンテナと全く同じサイズと寸法となっており、内部のネットワーク、冷却、配電設備があらかじめ設定されている。但し、電源が必要である為、遠隔地での展開には限界がある。顧客は、運用の規模に合わせてモジュールをいくつでも追加することが可能だ。また、AWS Outpostsによるネットワーク構築や、Snowball Edgeによるペタバイト単位のクラウドへのデータ移行など、オンサイトのAWSソリューションとの併用も可能となる。DDIL(Disconnected, Disrupted, Intermittent, or Limited)と定義された場所にいる場合、AWS Snowデバイスを使用すれば、MDCはインターネット接続なしで一部のAWSサービスを実行することも可能だ。顧客は、必要に応じて衛星通信を利用することも出来る。
Amazonによると、このポータブルデータセンターは、ますます一般的になっている問題を解決するものだという。軍とその請負業者は、クラウド・アプリケーションを頻繁に使用するようになりつつあるが、ネットワーク接続が断続的な地域では、低遅延でリアルタイムのデータにアクセスすることが出来ず、多くの場所で大きな課題となっている。その解決策として、Amazonが「タクティカル・エッジ」と呼ぶ、インターネット接続やストレージの選択肢が限られた軍事環境下にミニデータセンターを構築することにしたのだ。このドロップインコンテナは、アドホックなデータセンターに取って代わるもので、拡張もはるかに容易だ。Amazonによると、MDCによって国防総省の顧客は「ペタバイト級のデータを安全に保存、分析、リアルタイムで解釈し、最も孤立した環境でも軍事的優位性を得ることができる」ようになるという。
MDCは、構築が難しく、さらに管理も難しい固定インフラを置き換えることになる。Amazonによると、MDCは現在、Joint Warfighting Cloud Capability(JWCC)契約の対象となる米国政府の顧客なら誰でも利用できる。これは2022年12月に、クラウド機能を全兵科に導入するための軍事プログラムの一環としてAWSに発注されたものだ。現在、西と東の両リージョンでAWS GovCloudでサポートされている。
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