AIリポジトリの「Hugging Face」GoogleやSaleceforceらから2億3,500万ドルを調達

masapoco
投稿日
2023年8月26日 14:29
hugging face

オープンソースのAIモデルリポジトリ「Hugging Face」が、シリーズD資金調達ラウンドにおいて、45億ドルの評価額で2億3,500万ドルを確保したことが明らかになった。

Hugging Faceは、投資家の生成AIへの関心から利益を得ている数多くの事業のひとつだ。今回の評価額45億ドルという数字は2022年5月の評価額の2倍で、Hugging Faceの年換算収益の100倍以上と言われており、AIとその開発をサポートするプラットフォームに対する莫大な意欲を反映している。

このラウンドの投資家には、Google、Amazon、AMD、Intel、IBM、NVIDIA、Salesforceが含まれ、これらの企業はすべて、生成AIの基礎モデルや、これらのモデルを実行するプロセッサに多額の投資を行っている。

Hugging Faceは、AIコードリポジトリ、モデル、データセットのためのGitHubのようなハブや、AIを搭載したアプリケーションをデモするためのWebアプリなど、多くのデータサイエンスホスティングと開発ツールを提供している。また、データセットの処理やモデルの評価といったタスクのためのライブラリや、software-as-a-serviceやオンプレミスのデプロイメントをサポートするエンタープライズ版のハブも提供している。

同社の有料機能には、AIモデルの学習タスクの自動化を支援するAutoTrain、開発者が基盤となるインフラを管理することなくモデルをホストできるInference API、本番モデルのデータ処理速度を向上させるInfinityなどがある。

Hugging Faceが提供するツールの多くはMLOpsに分類される。MLOpsは、AIモデルを本番稼動させ、それを維持・監視するプロセスを合理化するツールのカテゴリーである。MLOps市場はそれ自体で相当な規模であり、あるレポートでは2030年までに166億1000万ドルに達すると推定している。

Hugging Faceは、Stability AIのStable DiffusionやMetaのLlama 2やその亜種など、人気のある生成AIモデルをいくつかホストしている。AmazonのAWSとHugging Faceは、AWSクラウドをHugging Faceの優先クラウド・プロバイダーとするために提携している。

Hugging Faceは、AIを扱うほとんどの企業が独自のモデルや技術を開発したいと考え、そのためのツールを必要とするという信念を支持していると、共同設立者兼CEOのClement Delangue氏はCNBCに語った。彼は、AI開発者が仕事をこなすために日常的にHugging Faceを利用することを望んでいる。

今回の大企業による投資について、彼は従業員が積極的にこのプラットフォームを利用していることを挙げている。「AI開発者は毎日毎日Hugging Faceを使っています。おそらく5年後には、1億人のAIビルダーが存在することになるでしょう。そして、その全員が毎日毎日Hugging Faceを使うようになれば、我々は明らかに有利な立場になるでしょう」。

また、同社はは他の分野にも手を出している。

2021年、Hugging Faceは、OpenAIのGPT-3に匹敵する強力なオープンソースの言語モデルを作成するボランティア主導のプロジェクト、BigScienceを立ち上げた。それはBloomという多言語モデルで結実し、1年以上にわたってHugging Faceのモデル・ハブでいじることができるようになった。

Bloomは、Hugging Faceが開発リソースを提供しているいくつかのオープンソースモデルのひとつだ。

Hugging Faceは、企業向けソフトウェア会社のServiceNowと協力して、StarCoderと呼ばれる無償のコード生成AIモデルをリリースした(後続モデルのSafeCoderは今週デビューした)。また、ドイツの非営利団体LAIONと提携し、OpenAIのバイラルAI搭載チャットボット「ChatGPT」の無料版を公開した。

Hugging Faceの提携は大手クラウドプロバイダーにまで及び、その一部は戦略的投資家でもある。

Hugging Faceは最近、NVIDIAと協力し、NVIDIAのDGXコンピューティング・プラットフォームを通じてクラウド・コンピューティングへのアクセスを拡大した。Amazonとパートナーシップを結び、同社の製品をAWSの顧客に拡大し、AmazonのカスタムTrainiumチップを活用して次世代のブルームを育成している。Hugging FaceはMicrosoftとHugging Face Endpoints on Azureで協力し、Hugging Faceが開発したAIモデルをAzureを通じてホストされるスケーラブルな本番ソリューションに変える方法を開発した。

今回の投資で、Hugging Faceは研究、企業、新興企業を含む多くの領域で支援活動を「倍増」させる計画だとDelangue氏は言う。従業員数は170人だが、今後数カ月で新たな人材を採用する予定だ。


Sources



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