AIを活用したLinuxカーネルの自動チューニングでパフォーマンスが大幅に向上

masapoco
投稿日 2023年11月22日 10:04
c5e833e59ed579a3407c03c16dabcb51

Linuxのカーネルパラメーターを調整することで、パフォーマンスを向上させる「チューニング」ができる。しかし手作業でのチューニングは非常に困難だ。TikTokの運営元である中国のIT企業ByteDanceは最近、AIを利用したLinuxカーネルの自動チューニングシステムを開発し、この作業をAIに任せることを提案している。このシステムは、歴史的データを分析することで、人間よりも良いチューニングを実現できるとのことだ。

データセンター内の数百もの異なるワークロードに対して手動でLinuxカーネルをチューニングすることは不可能に近い。既存のツールも特定の最適化に限定されている。そこでByteDanceは機械学習アルゴリズムを用いた世界初の自動チューニングソリューションを開発した。

この「自動チューニングマシン」は、ワークロードとハードウェア構成に基づきLinuxの内部設定を自動調整する。これによりあらゆるシナリオでのパフォーマンス最適化が可能になるという。

ByteDanceによると、このAIベースの自動チューニングシステムはかなりうまく機能しているようだ。機械学習アルゴリズムがリアルタイムでカーネルパフォーマンスを監視し、最適化されたリソース利用効率でシステムを動的に最適化できる。アプリケーションのメモリ使用量を30%削減したり、NGINXサーバーのHTTPネットワークレイテンシを最適化することで、手動チューニングと比較してネットワークパフォーマンスを12%改善できるとしている。

AIシステムはまた、ユーザーフレンドリーなインターフェイスを特徴としており、技術的な知識に乏しいユーザーでも、より良く動作するカーネルの恩恵を受けることができる。一方、上級ユーザーはオートチューニング・パラメーターをカスタマイズ出来る。

とはいえ、自動チューニングは全てのシナリオで効果的という訳ではない。今後さらに必要不可欠な技術になっていく事が期待されるだろう。


Sources



この記事が面白かったら是非シェアをお願いします!


  • tsmc wafer semiconductor chip 300mm fab 4
    次の記事

    TSMCの3nmの受注は順調、2024年末にはウェハー月産10万枚の計画

    2023年11月22日 10:42
  • 前の記事

    Anthropic、「Claude 2.1」を発表、20万トークンのコンテキストウィンドウを備え精度が向上

    2023年11月22日 8:57
    Claude2 Blog V1 1

スポンサーリンク


この記事を書いた人
masapoco

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

おすすめ記事

  • openai

    OpenAI、15秒の音声サンプルから感情豊かで自然な音声を合成できる「Voice Engine」を発表

  • a04c35e8e555c1cc7ae1d6a5f3159856

    MicrosoftとOpenAI、1000億ドル以上をかけて超人的AI開発のためのスーパーコンピューター「Stargate」を開発する計画

  • Sam Altman TechCrunch SF 2019 Day 2 Oct 3 cropped cropped

    ベンチャーキャピタリスト、OpenAIのSam Altman氏を“誇大妄想的”と非難

  • google logo image

    Googleが非営利団体を対象に2000万ドルの資金を提供し生成AI活用を支援

  • Pixel 8 in Rose.max 936x936.format webp

    Google、方針を転換しPixel 8にもGemini NanoによるオンデバイスAI機能を搭載へ

今読まれている記事