Linuxのカーネルパラメーターを調整することで、パフォーマンスを向上させる「チューニング」ができる。しかし手作業でのチューニングは非常に困難だ。TikTokの運営元である中国のIT企業ByteDanceは最近、AIを利用したLinuxカーネルの自動チューニングシステムを開発し、この作業をAIに任せることを提案している。このシステムは、歴史的データを分析することで、人間よりも良いチューニングを実現できるとのことだ。
データセンター内の数百もの異なるワークロードに対して手動でLinuxカーネルをチューニングすることは不可能に近い。既存のツールも特定の最適化に限定されている。そこでByteDanceは機械学習アルゴリズムを用いた世界初の自動チューニングソリューションを開発した。
この「自動チューニングマシン」は、ワークロードとハードウェア構成に基づきLinuxの内部設定を自動調整する。これによりあらゆるシナリオでのパフォーマンス最適化が可能になるという。
ByteDanceによると、このAIベースの自動チューニングシステムはかなりうまく機能しているようだ。機械学習アルゴリズムがリアルタイムでカーネルパフォーマンスを監視し、最適化されたリソース利用効率でシステムを動的に最適化できる。アプリケーションのメモリ使用量を30%削減したり、NGINXサーバーのHTTPネットワークレイテンシを最適化することで、手動チューニングと比較してネットワークパフォーマンスを12%改善できるとしている。
AIシステムはまた、ユーザーフレンドリーなインターフェイスを特徴としており、技術的な知識に乏しいユーザーでも、より良く動作するカーネルの恩恵を受けることができる。一方、上級ユーザーはオートチューニング・パラメーターをカスタマイズ出来る。
とはいえ、自動チューニングは全てのシナリオで効果的という訳ではない。今後さらに必要不可欠な技術になっていく事が期待されるだろう。
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