ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)は、すべてのコンピュータに欠かせない部品だが、性能、電力、密度、物理的実装など、DRAMに対する要件は時々変わる傾向がある。今後数年間、ノートパソコンやサーバー向けのメモリモジュールは、従来のSO-DIMMやRDIMM/LRDIMMでは性能、効率、密度の点で終わりが近いので、新しいタイプのものが登場すると思われる。
ADATAは、台湾の台北で開催されたComputex 2023において、今後数年間で、クライアントマシンおよびサーバーマシンからそれぞれSO-DIMMおよびRDIMM/LRDIMMを置き換える候補となりうる製品をデモンストレーションした事を、Tom’s Hardwareは報告している。この中には、少なくとも超薄型ノートPCやコンパクトデスクトップPC、その他の小型フォームファクタ向けのCompression Attached Memory Modules(CAMM)、サーバー向けのMulti-Ranked Buffered DIMM(MR-DIMM)、汎用DRAM以下のコストで追加のシステムメモリを必要とするマシン向けのCXLメモリ拡張モジュールがある。
CAMM
CAMMの仕様は、JEDCによって2023年後半に最終決定される予定だ。しかし、ADATAは、この展示会でこのようなモジュールのサンプルを実演し、今後の技術を採用する用意があることを強調した。
CAMMの主な利点は、メモリチップとメモリコントローラ間の接続の短縮(トポロジーの簡素化により、転送レートの向上とコスト削減が可能)、DDR5またはLPDDR5チップに基づくモジュールの使用(LPDDRは従来ポイントツーポイント接続)、1モジュールでのデュアルチャネル接続、DRAM密度の向上、両面SO-DIMMと比べた薄さ低減などが挙げられる。
全く新しいタイプのメモリモジュールへの移行は、業界にとって多大な努力を必要としますが、CAMMが約束する利点は、その変更を正当化するものと思われる。
昨年、DELLはPCメーカーとして初めて、Precision 7670ノートブックにCAMMを採用した。一方、ADATAのCAMMモジュールはDELLのものとは大きく異なるが、DELLはJEDEC標準化以前のモジュールを使用していたため、これは予想外のことではない。
MR DIMM
データセンターグレードのCPUは、コア数が急速に増加しているため、世代が進むごとに、より多くのメモリをサポートする必要がある。しかし、コストや性能、消費電力の問題から、DRAMデバイスの密度を高いペースで上げることは難しく、そのため、コア数の増加とともに、プロセッサはメモリチャネルを追加し、その結果、CPUソケットあたりのメモリスロット数が豊富になり、マザーボードの複雑さが増している。
このため、業界では、現在使用されているRDIMM/LRDIMMに代わる2種類のメモリモジュールの開発が進められている。
一方、Intel と SK hynix が支援する Multiplexer Combined Ranks DIMM (MCR DIMM) 技術がある。これは、同時に動作する両方のランクから 128 バイトのデータをフェッチするマルチプレクサバッファを備え、メモリコントローラと高速で動作するデュアルランクバッファ型メモリモジュールだ(現時点では 8000 MT/s について話しています)。このようなモジュールは、性能の向上と、デュアルランクモジュールの構築を大幅に簡略化することを約束する。
一方、AMD、Google、Microsoft、JEDEC、Intelがサポートしていると思われるMR DIMM (Multi-Ranked Buffered DIMM) 技術もある。MR DIMMは、MCR DIMMと同じコンセプト(メモリコントローラが両方のランクに同時にアクセスし、データ転送速度を上げて対話できるようにするバッファ)を使用している。この仕様は、Gen1で8,800MT/sから始まり、Gen2で12,800MT/sに進化し、そのGen3では17,600MT/sに急上昇することが約束されている。
ADATAはすでに、8,400 MT/sのデータ転送レートをサポートするMR DIMMサンプルを保有しており、16GB、32GB、64GB、128GB、192GBのDDR5メモリを搭載することが出来る。ADATAによれば、これらのモジュールはIntelのGranite Rapids CPUでサポートされる予定だという。
CXLメモリ
しかし、MR DIMMとMCR DIMMの両方がモジュール容量の増加を約束する一方で、サーバーの中には、比較的低コストで多くのシステムメモリを必要とするものがある。現在、このようなマシンは、標準的なDIMMスロットに搭載される、現在は廃止された3D XPointメモリをベースとしたIntelのOptane DC Persistent Memoryモジュールに頼らざるを得ない。しかし、将来的には、CXL(Compute Express Link)仕様を採用し、PCIeインターフェイスを使用してホストCPUに接続されたモジュールのメモリが使用されるようになるだろう。
ADATAは、E3.SフォームファクターとPCIe 5.0 x4インターフェースを備えたCXL 1.1準拠のメモリ拡張デバイスをComputexに出展した。この装置は、3D NANDを使用してサーバーのシステムメモリをコスト効率よく拡張するように設計されており、最先端のSSDと比較してレイテンシを大幅に低減している。
Source
- Tom’s Hardware: Adata Demos Next-Gen Memory: CAMM, CXL, and MR-DIMM Modules
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