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国連曰く「AIは仕事を奪うのではなく、手助けしてくれる」

国連の機関である国際労働機関(ILO)の報告書によると、ChatGPTなどの生成AIの出現当時に世界中で沸き起こった懸念の1つである「AIに人間の仕事が奪われる」事は恐らくなく、少数の一部の作業を自動化するに留まる可能性が高いとのことだ。

ILOの報告書「生成AIと雇用:雇用の量と質に対する潜在的影響のグローバル分析 (PDF)」では、OpenAIのChatGPTの立ち上げにより、テキストや画像を作成したり、データを分析したりできるAIが、多くの人間が従事しているそうした仕事に取って代わることで、雇用が失われるという懸念が生じていると指摘している。

しかし、ILOの研究者は、ほとんどの労働者はAIに取って代わられる危険性は高くないとしている。

それどころか、「ほとんどの仕事と産業は自動化に部分的にしかさらされておらず、したがってAIによって代替されるよりもむしろ補完される可能性が高い」ということだ。

報告書によれば、GPT-4のようなツールは、管理、顧客サービス、データ管理、情報提供などの分野で人間が行う作業の一部を行うことができるが、AIモデルはほとんどの役割で必要とされるすべての作業を行うことはできない。これは、実際にそれら生成AIモデルに触れたことがあり、その出力に間違いが多い事を感じたことのある方なら納得するはずだ。

「その結果、この技術がもたらす最も重要な影響は、職種を完全に自動化するのではなく、職種内の一部の作業を自動化し、その間に他の業務に時間を割くという、業務の補強になる可能性が高い」と報告書は述べている。

報告書によれば、AIによる業務の置き換えが起こる確率が高いのは事務職の一部の職のみで、事務職の24パーセントが高度の影響を受け、さらに58パーセントが中程度の影響を受けているという。「他の職業群では、高い影響を受ける割合は全体の1%から4%の間で推移し、中程度の影響は25%を超えない」としている。

この分析は女性にとって悪いニュースである。報告書によれば、女性は事務職に、特に高所得国や中所得国において過剰に従事しているからだ。

「事務職は伝統的に、国が経済的に発展するにつれて女性の雇用の重要な源泉となってきたため、生成AIのひとつの結果として、低所得国では特定の事務職が出現しない可能性がある」と、報告書は指摘する。

先進国で生成AIが採用されるということは、その国の労働者がこのテクノロジーの影響を感じる可能性が高いことを意味する。報告書は、高所得国では雇用全体の5.5%が部分的に自動化されるリスクがあると推定しているが、低所得国では0.4%に過ぎない。

「我々は、新たな雇用の創出について推測することなく、現時点でのタスク自動化の可能性に焦点を当てた。このアプローチでは、正味の雇用喪失という憂慮すべき試算が出されることが予想されたが、そうではなかった。むしろ、われわれの世界的な推計は、仕事が変容しつつも、依然として非常に多く存在する未来を指し示している」と研究者たちは述べている。

しかし、研究者たちは、産業がAIに適応する際にも労働者の権利が守られるよう、各国が政策を定める必要があると警告している。

「適切な政策が講じられなければ、一部の有利な立場にある国や市場参加者だけが移行の恩恵を享受できる一方で、影響を受ける労働者のコストは残酷なものになる恐れがある」とILOの報告書は結論づけている。


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