ライス大学の研究者たちは、、研究者たちはネズミの神経組織を刺激するだけでなく、再接続することすらも可能な超小型素材を開発した。この神経障害や神経系の疾患を治療する可能性を持つ新しい磁電性材料は、インプラントの代わりとなる神経の損傷を治療する、画期的な注射可能な材料につながる可能性がある。
「私たちは、『塵のような、あるいは非常に小さく、体内に一振りするだけで、脳や神経系を刺激できるような材料を作ることはできないだろうか?』と考えました。この疑問を念頭に置いて、磁電性材料は神経刺激に使うのに理想的な候補だと考えました。磁電性材料は磁場に反応し、それを電場に変換します。電場は、私たちの神経系が情報を伝達するためにすでに使っている言語です」と、筆頭著者のJoshua Chen氏は語る。
この粒子を作るにあたり、ライス大学の研究者たちは、まずMetglasと呼ばれるアモルファス金属合金の2つの層を作り、その間にチタン酸ジルコン酸鉛の圧電層を挟んだ。圧電材料は、機械的な力が加わると電気を発生する。Metglasは磁歪材料であり、磁場が加わると形状が変化する。この場合、磁気パルスの存在下でMetglasの形状が変化することで、内部の圧電材料が電気信号を発生した。このような材料は磁電性材料として知られている。ただし、この電場は神経細胞が感知するには速すぎるため、研究者たちは新材料を設計する過程で、細胞が反応するような電場信号を生成する方法を工夫した。
これを解決するため、ライス大学の研究者らは、酸化白金ハフニウムと酸化亜鉛を加えて、磁電膜をさらに作り上げた。このような層状材料のアプローチにもかかわらず、最終的な膜の厚さは約200ナノメートルしかなかった(比較のため、人間の髪の毛の幅は約90,000ナノメートルである)。
この新材料は、神経細胞が反応する形状と周波数の電場を生成する能力を持ち、ラットの坐骨神経の切断とその後の修復にも成功している。この材料の使用により、神経刺激治療の侵襲性を大幅に減らすことが可能とのことだ。また、以前に開発された同様の素材よりも約120倍速く作動することも証明された。
「このメタマテリアルを使えば、切断された神経のギャップを埋め、高速の電気信号速度を回復させることができます。全体として、神経技術における多くの課題を克服する新しいメタマテリアルを合理的に設計することができました。さらに重要なことは、この先進的な材料設計の枠組みは、エレクトロニクスにおけるセンシングやメモリーといった他の用途にも応用できるということです」と、Chen氏は語る。
論文
- Nature Materials: Self-rectifying magnetoelectric metamaterials for remote neural stimulation and motor function restoration
参考文献
- Rice University: Rice-engineered material can reconnect severed nerves
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