あなたの好奇心を刺激する、テックと科学の総合ニュースサイト

米国は中国の半導体開発技術を10年は遅らせたい

Huaweiが先日発売したフラッグシップモデル「Mate 60 Pro」には、中国の半導体メーカーSMICが製造した7nmプロセスの「Kirin 9000S」が搭載されていることが明らかになった。これは中国国内では同国の半導体技術の進歩であると大いに喧伝され、国外においては、最先端ノードから数世代遅れているとはいえ、中国が独自に半導体の製造が可能になった事について様々な意見が飛び交った。そして今回、ある報告書によれば、中国は世界の最先端技術に比べると最大4年遅れているが、米国が実施しているチップ規制の目的は、中国のチップ開発技術を最大10年遅れさせることを意図していることが明らかになった。これは中国の今後の半導体開発に暗雲をもたらすものでもある。

7nmの壁を越える事は依然として困難を極める

Kirin 9000Sの具体化は米国当局から大きな脅威とみなされているが、中国でもより高度なチップの開発に対する懸念が高まっている。Bloombergによると、中国、ひいてはSMICにとって、先進的なEUV(極端紫外線)リソグラフィ装置の調達がますます難しくなっているという。この種の装置は製造に数億ドル、完成までに数年かかり、製造できるのは世界でもオランダのASML社だけである。

残念ながら、ASMLはこの装置を中国に販売することを禁じられており、中国側は代替品を探さざるを得ない。SMICがチップ開発を続けるために利用できるのは、それよりも前の世代となるDUVリソグラフィ装置である。DUVはEUVと似た働きをするが、より大きな波長の放射線を使用するため、最先端分野で遅れをとっているチップを製造することができる。

Mate 60 Proに搭載されているKirin 9000Sを大量生産することができたのは、これらのマシンのおかげだが、SMICはここで壁にぶつかった可能性がある。中国のバイヤーは、せいぜいASMLから既存の機械やその他の備品を備蓄することができるだろうが、これらの企業はもはや保守やその他のサービスを提供していないため、7nmの限界を超えて進歩することが困難になる可能性がある。

中国政府は、特に米国からの自立を図るため、2014年から2030年までに国内半導体部門に1500億ドル以上を投じる計画を打ち出しており、最終目標はスマートフォンや自動車、コンピューターなどに必要なシリコンの70%を量産することだと報じられている。ASMLのCEO Peter Wennink氏は、米国が中国に課す輸出規制に反対の声を上げている。同CEOは、中国政府の圧力が強まれば強まるほど、彼らの取り組みも強化されると述べている。

中国ではこうしたEUVリソグラフィ装置の問題に取り組むために、独自に粒子加速器を備えた最先端チップ工場の研究も続けており、その点でブレークスルーを図ることも意図しているようだ。


Source

Follow Me !

この記事が気に入ったら是非フォローを!

Share!!

関連コンテンツ

執筆者
Photo of author

masapoco

TEXAL管理人。中学生の時にWindows95を使っていたくらいの年齢。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題が得意だが、テクノロジー関係の話題も大好き。最近は半導体関連に特に興味あり。アニメ・ゲーム・文学も好き。最近の推しは、アニメ『サマータイムレンダ』

記事一覧を見る

コメントする