天文学者たちは、2022年6月にジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡（JWST）によって発見されたメイジー銀河のより正確な年齢を計算するために、先進的な機器を使用した。この星系は当初推定されたほど古くはないが、それでもビッグバンから3億9000万年後に記録された最も古いもののひとつであり、約134億年前のものとなる。これは、最古の星系であるJADES-GS-z13-0よりもわずか7000万年若いものだった。
テキサス大学オースティン校の天文学者Steven Finkelstein氏が率いるチームは、昨年の夏にこの星系を発見した。(“メイジー銀河”という名前は、彼の娘の誕生日に発見されたことにちなんだものである）。グループは当初、ビッグバンからわずか2億9000万年後と推定していたが、より高度な装置で銀河を分析した結果、それより約1億年古いことが判明した。「メイジー銀河がエキサイティングなのは、JWSTによって発見された最初の遠方銀河のひとつであり、その中で実際に分光学的に確認された最初の銀河であるということです」とFinkelstein氏は言う。
分光学的な確認は、JWSTの近赤外線分光器（NIRSpec）の提供によるもので、Cosmic Evolution Early Release Science Survey（CEERS）によって行われた。NIRSpecは、”より正確にその化学的構成、熱出力、固有の明るさ、相対的な動きを特定するために、天体の光を多くの異なる狭い周波数に分割する”。赤方偏移（観測者から遠ざかる動きを示す、より長い（より赤い）波長への光の動き）は、元の測光に基づく推定よりも正確な年代測定の鍵を握っていた。先進的なツールは、メイジー銀河の赤方偏移をz=11.4とし、研究者たちがビッグバンから3億9000万年後という修正推定をするのに役立った。
天文学者たちはまた、CEERS-93316を調べた。この銀河は当初、ビッグバン以前の2億3500万年と見積もられていたが、これは驚くべき古さである。この系を調べた結果、赤方偏移はz=4.9であり、ビッグバンからわずか10億年後であることが判明した。CEERS-93316についての最初の誤った見積もりは理解できた：その銀河は、酸素と水素に関連する狭い周波数帯で異常な量の光を放ち、実際よりも青く見えたのだ。
「これは奇妙なケースです。分光学的に観測された何十もの高赤方偏移候補の中で、真の赤方偏移が我々の最初の推測よりずっと小さい唯一の例です。宇宙がこれほど巨大な銀河をこれほど早く作り出したことを説明するのは、本当に難しいことでした。というのも、この銀河は非常に極端で、非常に明るく、非常に高い赤方偏移を持っていたからです」と、Finkelstein氏は今回の経緯について説明している。
論文
参考文献
- The University of Texas at Austin: Astronomers Confirm Maisie’s Galaxy is Among Earliest Ever Observed
- via ScienceAlert: It’s Official: This Red Blob Is One of The Earliest Galaxies Ever Seen
研究の要旨
宇宙の歴史の最初の5億年の間に、最初の星と銀河が形成され、宇宙に重元素の種をまき、最終的に銀河間媒質を再電離させた。JWSTの観測によって、驚くほど多くの初期星形成銀河の候補が発見され、その距離（赤方偏移、z )は、JWST以前の限界を遥かに超えるz≈16 その距離（赤方偏移z）はz≈16と、JWST以前の限界を遥かに超えている。このような測光赤方偏移は一般的に頑健ではありますが、縮退や時には壊滅的な誤差に悩まされることもあります。これらの天体を検証し、銀河形成モデルや宇宙論を制約する物理的性質を確実に定量化するためには、分光観測が必要です(10)。ここでは、JWSTの分光観測によって、z>11の2つの非常に明るい銀河の赤方偏移が確認されたことを紹介します。 の二つの非常に明るい銀河の赤方偏移を確認した。z=4.9 また、z≈16と思われるもう一つの候補銀河の赤方偏移はz=4.9であり、星雲線発光と塵の赤方偏移の珍しい組み合わせは、もっと遠方にある天体の色を模倣している。これらの結果は、非常に明るい銀河が早い時期に急速に形成されたという証拠を補強すると同時に、分光学的な検証の必要性を強調している。明るい銀河が初期に大量に存在することは、現在の銀河形成モデルには欠点があること、あるいは、一般に考えられている物理的性質（恒星の初期質量関数など）から、後の時代に外れていることを示しているのかもしれない。
コメントを残す