ダークエネルギーとダークマターの発見が期待される、ESA(欧州宇宙機関)の新たな宇宙望遠鏡「ユークリッド」が、2023年7月1日(土)現地時間11時11分(日本時間7月2日0時11分)、米国フロリダ州のケープカナベラルからSpaceX社のFalcon 9ロケットで打ち上げられた。第1段は地球に帰還し、後のフライトで回収・再利用される。
ユークリッドは長い旅をした。「6月23日から28日にかけて、ユークリッドはFalcon 9のアダプターに取り付けられ、ロケットフェアリングに収納され、ケープカナベラル宇宙発射場40(SLC-40)に運ばれた」と、ESA(欧州宇宙機関)はプレスリリースで述べている。
「ユークリッドの目的地は、太陽-地球系の平衡点である太陽-地球ラグランジュ点L2である。地球から150万km(地球と月の距離の約4倍)離れた太陽の反対方向に位置し、天体観測を目的とした宇宙望遠鏡にとって理想的な場所である」。
ユークリッドがL2を周回する広い軌道の挿入点に到達するまでには約1ヶ月かかる。そこへ到着すると、ユークリッドは2ヶ月間の試験と校正を開始し、定期観測の準備をする。
これによりユークリッドは、前例のない精度と感度で空の3分の1を調査する任務を開始する準備が整う。この期間はなんと6年間も続く。
「ユークリッドのミッションは、宇宙の謎に包まれた2つの要素、暗黒物質と暗黒エネルギーを解明することである。これらの謎めいた存在の役割を理解することは、宇宙は何でできているのかという基本的な問いに答える助けになります」とESAは続ける。
「先進的な望遠鏡と革新的な光学・近赤外線科学装置を備えたユークリッドは、100億光年先までの数十億の銀河を観測し、最大かつ最も正確な宇宙の3D地図を作成します」。
このツールによって、銀河系外の空の広範で詳細なチャートが作成されることが期待されている。そうなれば、物質がどのようにして膨大な距離にわたって分布しているのか、宇宙の膨張がどのように時間をかけて進化してきたのか、といった長年の謎に答えられるかもしれない。
現在、我々は宇宙の約5パーセントしか理解していない。ダークエネルギーとダークマターは謎のままであり、それこそがユークリッドが発見しようとしていることなのだ。
ユークリッドは、6年間の期間終了後に宇宙論の最終的な答えを明らかにする予定だが、その期間中にデータの分析も行われ、共有される予定である。
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