2010年の登場以来、人気を集めているArduino Unoだが、遂にその進化版である「Arduino Uno R4」が発表された。その驚くべき性能向上により、これまでのUnoシリーズを超える可能性が広る。
Arduino Uno R4は、2023年5月にリリース予定で、価格はまだ未発表だが、「Minima」という通常版とWi-Fi搭載版の2種類が用意される。Wi-Fi版は、Espressif S3モジュールを採用し、Wi-FiとBluetoothの両方に対応している。
Uno R4は、従来のUnoと同じピン配置とレイアウトを維持しつつも、性能面では大幅な向上が見られる。新たに32ビットのRenesas RA4M1 CPUを搭載し、48MHzで動作する。これは、従来の8ビット16MHzのATmega328Pプロセッサと比較して大きな進化だ。また、新しいチップはArm Cortex M4アーキテクチャをベースにしており、AVR RISCベースの旧プロセッサとは異なる。Arduino社によれば、既存のソフトウェアライブラリのほとんどは変更なしで動作するとのことだが、AVRに最適化されたものは調整が必要になるかも知れない。
Uno R4は、32KのSRAMを搭載しており、これもUno R3の2Kの16倍と言う大きな進化だ。また、256KのオンボードNANDフラッシュメモリも搭載されている。従来のUSB Type-Bポートに代わってUSB-Cポートが採用され、バレル型電源コネクタは最大24Vまで対応可能になった。12ビットアナログDACやCANバス、SPIポートも搭載されている。
Uno R4 | Uno R3 | |
---|---|---|
CPU | Renesas RA4M1 (48 MHz, Arm Cortex M4) | ATmega328P (16 MHz, AVR) |
SRAM | 32K | 2K |
フラッシュストレージ | 256K | 32K |
USB | Type-C | Type-B |
最大電圧 | 24V | 20V |
Arduinoは、Uno R4の公式写真で、いくつかの部分に黄色と緑のボックスを配置している。これは、発売までの間、ボックスの下に何があるのかを秘密にするためだと説明している。
Uno R4をいち早く手に入れたい方は、ウェイティングリストにサインアップして通知を受け取ることが出来る。また、既存のArduinoライブラリを開発しているデベロッパー向けには、早期採用プログラムも用意され、参加が認められた場合は無料でUno R4が提供される。
Uno R4の価格はまだ不明だが、既存のUno R3の価格を考えると、25ドル以上にはなるだろう。そして、Wi-Fiバージョンは更に高価になることが推測される。
Raspberry Pi Picoとは一長一短
そして、Uno R4はRaspberry PiのRP2040チップを搭載したボードと厳しい競争を繰り広げている。RP2040は133MHz(Uno R4の約3倍)の速さで動作し、デュアルコアと256KのSRAMを持っている。RP2040を搭載したボードは数多く存在するが、オリジナルのRaspberry Pi Picoは基本モデルがわずか4ドル、Wi-Fi/Bluetooth機能付きが6ドルで販売されているのだ。
一方で、Uno R4はRP2040ボードよりもはるかに大きな電力を扱うことが出来る。Uno R4の電源コネクタは最大24Vまで対応しているのに対し、Raspberry Piのプラットフォームはわずか5Vまでしか対応していない。
性能面ではRaspberry Piが優れているが、電力対応面ではUno R4が優位だ。購入を検討されている方は、自分のプロジェクトや予算に応じてどちらのプラットフォームが最適か検討されることをお勧めする。
Source
- Arduino: Arduino UNO R4
- via Hackster.io: Arduino Announces the 32-Bit UNO R4
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