Qualcomm(クアルコム)は、これまで拡張現実(AR)と仮想現実(VR)の両方のヘッドセットに使用できる複合現実チップセット(XR1およびXR2)をメインに開発していたが、同社は今回、Snapdragon AR2 Gen 1という、初のAR専用チップを製造することをあきらかにした。
フォームファクタの物理的制約を考慮し、Qualcommは「マルチチップ分散処理アーキテクチャ」を採用しているため、すべてのコンポーネントを1つの大きな基板に配置することはない。むしろ、ARプロセッサは1つのステムの中に、ARコプロセッサはブリッジの中に、そして接続を担当するチップについてはもう1つのステムに置くことができる。“XR2”と比較すると、“AR2”は消費電力を50%削減しているとのことだ。
この4nmのARプロセッサは、ユーザーと環境を理解するために最大9台のカメラを同時にサポートし、「Engine for Visual Analytics」がオブジェクトの検出を担当する。その他の専用ハードウェアは、モーショントラッキングとローカライゼーションを改善し、ハンドトラッキングや6DoFは、AIアクセラレータによりレイテンシーを低減して動作する。このチップは、知覚のほかに、ディスプレイ出力の駆動にも使用され、「リプロジェクション・エンジン」によって、移動してもビジュアルオーバーレイが固定されたままであることを確認することが可能だ。
ARコプロセッサはカメラとセンサーのデータを統合し、アイトラッキングにより、より効率的に 「ユーザーが見ているところだけにワークロードを集中させる」ことで不可を軽減する“フォベーテッドレンダリング”を実現する。また、虹彩認証にも対応しており、チップには独自のCPU、メモリ、カメラ/センサーの集約、コンピュータビジョン、セキュリティのためのハードウェアが搭載されている。
Snapdragon 8 Gen 2と同様に、Qualcomm FastConnect 7800は、ARグラスとペアリングされた「ホスト」デバイス間で2ミリ秒以下のレイテンシでWi-Fi 7をサポートする。より複雑なデータ処理は、接続されたスマートフォン(またはPC)にオフロードされ、遅延の影響を受けやすい知覚データはメガネで直接処理されるとのことだ。
Snapdragon AR2 Gen 1の採用については、Lenovo、LG、Niantic、Nreal、OPPO、Pico、QONOQ、Rokid、Sharp、TCL、Tencent、Vuzix、Xiaomiが “まざまな開発段階” にあるとのことだ。
Qualcommは、ダイナミックヘッドトラッキングによる空間オーディオ、ロスレスオーディオ品質、48msのレイテンシーをサポートするS5 Gen 2およびS3 Gen 2サウンドプラットフォーム/チップも発表している。Qualcommの新しいSnapdragonプラットフォームは、スリムなARグラス向けに構築されている。
コメントを残す