スタートアップ企業が既存の半導体チップ製造技術で製造したスピン量子ビットのデモを実施

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量子スタートアップの Quantum Motion は、商用半導体ファウンドリで製造された 1 つのシリコンチップに数千の量子ドットを搭載できる独自の技術を発表した。同社はこれによって、本格的な耐障害性量子システムの構築に向けた、新たな一歩になると述べている。

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UCLとオックスフォード大学の研究者が率いる同社は、チップの1つで量子デバイスの状態を測定するという重要なマイルストーンを達成し、0.1mm2未満の面積を占める1024個の量子ドットを12分以内に測定できることが実証されたと述べている。この成果は、英国グラスゴーで開催されたIEEE電子回路・システム国際会議で公開された。

Bloomsbury(ブルームスベリー)と呼ばれる同社の最新チップは、3x3mm2のデバイスで、通常の半導体製造と同じ大量生産プロセスを用いてファウンドリーで製造されたものである。Bloomsburyは、同社が最初に創業したロンドンの地名にちなんで名付けられたものだ。子にチップは、数千個の量子ドットを含み、そこに個々の電子をロードして量子ビットとして機能させることができるという。

bloomsbury bonded
Quantum Motion社の量子チップ「Bloomsbury」(Credit: Quantum Motion)

Quantum Motion社によれば、今日の小型量子プロセッサーのデモから大規模な量子コンピューターに移行するには、いくつかの課題を克服する必要があるとのこと。

まず1つが、十分な数の量子ビットを集めることであり、そのために、既存のチップ製造技術を使って量子デバイスを大量生産できるようになる必要がある。

もう1つは、量子デバイスに向かう膨大な数の接続を必要とせずに、大規模なアレイの個々の量子ビットにいかに対処するかであるとのことだ。これを実現するには、従来の電子機器と同じプロセスで量子デバイスを製造するだけでなく、量子ビットの動作に必要な極低温でも機能するように、電子制御回路を設計する必要がある

「深い極低温で動作するように設計した従来の電子機器に、これら(量子ドット)をオンチップで統合することで、冷蔵庫に入る9本の配線だけで何千もの量子デバイスを読み出すことが可能になりました。スケーリングの大きなボトルネックを取り除いたのです」と、Quantum Motionで集積回路を担当するAlberto Gomez Saiz(アルベルト・ゴメス・サイス)氏は述べている。

Quantum Machines社の共同設立者兼共同CTOであるYonatan Cohen(ヨナタン・コーエン)氏は、この点もシリコンを使って量子システムを構築する利点であると同意している。

「シリコンチップ上の量子ビットの数を増やせることに加え、量子ビットと通信するための制御電子回路と呼ばれるものの統合を考えることもできるのです。基本的には、これらの要素のいくつかを同じチップに統合することができます」とCohen氏は語っている。「重要な仕事だと思います。ご存知のように、本格的な量子コンピュータに到達するためには、やるべきことが山ほどあります。しかし、これは非常に重要なマイルストーンであり、そこへ向けて良い方向に向かっていることを示すものだと思います。」

Quantum Motionによると、今回のチップは、ある商業ファウンドリ(これは公開されていない)の、高歩留まりで大量のチップ製造に使われる300mmウェハ製造プロセスで製造されたとのことだ。今回の成果はこの点で、今月初めに300mmウェーハを用いたスピン量子ビットデバイスの製造に関する独自の実験から得られた最新の結果を発表したIntel(インテル)に続くものとなる。

共同CTOのJohn Morton氏は、Quantum Motion社の半導体エンジニアと量子物理学者による大規模な学際的努力の成果であると評価し、先進のシリコンファウンドリープロセスを利用して量子チップを量産することにより、量子プロセッサを実現する可能性を示していると述べている。

ただし、Cohen氏が語ったように、この技術に期待されていることを実現できる汎用的な量子システムが実際に登場するのはまだまだ先の話になる。

「汎用、あるいは大規模な量子コンピュータと言った場合、何を意味するかは本当に人それぞれです。もし、耐障害性を備えた大規模量子コンピュータと呼ばれるものに到達したいのであれば、10年から15年、あるいは20年かかると思います。そして、それは、例えば、RSA暗号を破るショアのアルゴリズムのように、量子コンピュータの可能性を本当にフルに収穫できるポイントです。」

だがその前に、今後5~7年以内に量子コンピューターに大きな利点を与える可能性のある発見的アルゴリズムがあるとCohen氏は考えているようだ。彼によると、今のこの状況を、人々がニューラルネットワークを構築し、それが特定の用途に有用であることが判明するまで、証明されていない技術であった機械学習になぞらえている。

「将来、汎用量子コンピュータが欲しいと思っても、やらなければならないことがたくさんあり、今日からそれを始める必要がある」とCohen氏は述べている。

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