あなたの好奇心を刺激する、テックと科学の総合ニュースサイト

これまで観測された中で最も強力な(18TeV)ガンマ線バーストが検出される

ガンマ線バースト(GRB)は、ビッグバン以降の宇宙で最も強力な爆発現象の一つだ。これまでにも数多く観測されているが、10月9日(日)に、これまで観測された物を遙かに上回る規模の爆発が、地球上空を通過する様子が観測されたという。この爆発では、これまでの記録の18倍もの高エネルギー放射線が観測されたと言うことだ。

太陽系を通過する強力なガンマ線とX線のバースト

NASAのフェルミガンマ線宇宙望遠鏡ニール・ゲーレルズ スイフト天文台ウィンド宇宙船などが、太陽系を通過するX線とガンマ線の波を検出したことで、この現象を認識することとなった。

この信号は、いて座の方向、地球から19億光年の距離から発せられた。大質量星が自重で崩壊し、その中心部にできた新しいブラックホールの産声だと考えられている。このような状況では、生まれたばかりのブラックホールは、光速に近い速度で移動する強力な粒子のジェットを発生させる。このジェットは、星を突き破り、X線やガンマ線を放ちながら宇宙空間へと流れていく。

GRB 221009A」と名づけられたこの現象は、これまでに観測された中で最も強力なものでとなる。通常、こういった事象のエネルギーは、ギガ電子ボルト(GeV)で測定され、これまでに観測されたガンマ線バーストでは、1テラ電子ボルト(TeV:1,000GeV)の物も存在したが、今回のGRB 221009Aは、なんと18TeVものエネルギーを放出していたのだ。この測定値についてはまだ検証段階だが、調査結果が確認された場合、10TeVを超えるガンマ線バーストが確認された初めての事例となる。

「このバーストは、典型的なGRBよりもはるかに接近しており、そうでなければ暗すぎて見ることができない多くの詳細を検出することができるので、刺激的です。しかし、それはまた、距離に関係なく、これまでに見られた最もエネルギッシュで明るいバーストの一つであり、二重にエキサイティングなことです。」」と、GRBに関する最初の連絡を主導したフェルミLAT共同研究メンバーで、イタリアのバーリ工科大学の博士課程学生、Roberta Pillera氏はプレスリリースで述べている。

今回のガンマ線バーストは地球から安全な距離であったが、もっと近い距離で発生した場合は、地球に壊滅的な打撃を与えるだろう。地球から数千光年の距離でこのような高エネルギーが発生した場合、地球を保護するオゾン層が破壊され、大量絶滅を引き起こす可能性がある。実際、科学者たちは、地球史上最大の大量絶滅現象のひとつである4億5000万年前のオルドビス紀の絶滅は、このような爆発が引き金になった可能性があると考えている。

「これは確かに非常にエキサイティングな出来事です!この現象は非常に近く、また非常にエネルギーが高いため、電波、光、X線、ガンマ線の光が非常に明るく、簡単に観測することができます。そのため、世界中の大小の望遠鏡でこのガンマ線バーストを研究し、最初に明るくなり、その後消えていく様子を非常に包括的なデータセットとして収集することができます。」と、オーストラリア・カーティン大学の天文学者で、同様の現象を研究しているGemma Anderson氏は、ScienceAlertに語っている。


参考文献

Follow Me !

この記事が気に入ったら是非フォローを!

Share!!

関連コンテンツ

おすすめ記事

執筆者
Photo of author

masapoco

TEXAL管理人。中学生の時にWindows95を使っていたくらいの年齢。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題が得意だが、テクノロジー関係の話題も大好き。最近は半導体関連に特に興味あり。アニメ・ゲーム・文学も好き。最近の推しは、アニメ『サマータイムレンダ』

記事一覧を見る

コメントする