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宿主の身体を爆発させる「ゾンビ」真菌の写真が科学写真コンテストで優勝

BMC Ecology and Evolution写真コンテストは、科学者が運営するユニークなコンテストで、異なる種の間に存在する関係を創造的に浮き彫りにすることを目的としたものだ。今回このコンテストで、宿主の体から爆発する寄生菌の姿を写し出した衝撃的な写真が今年の最優秀賞を獲得した。

このコンテストは、シンプルな4つのカテゴリーに分かれている。それは、「自然界の関係」「絶滅の危機に瀕した生物多様性」「クローズアップされた生命」「行動する研究」の4つとなる。受賞者は、BMC Ecology and Evolution誌の編集委員会のシニアメンバーによって審査される。

編集者のJennifer Harman氏は、「私たちのシニア編集委員は、専門知識を駆使して、受賞作品が、その背景にある科学的ストーリーと、画像そのものの技術的品質や美しさによって選ばれるようにしました。このコンペティションは、BMCの革新性、好奇心、誠実さといった理念を反映しています。」と述べている。

今年の最優秀賞は、冒頭でもご紹介した、進化生物学者の Roberto García-Roa氏がペルーのジャングル、タンボパタで撮影した驚くべき一枚だ。この画像は、脳を支配する寄生菌が、その成長を遂げ、最終的に宿主の体内から飛び出していく様子を表現している。

「この画像は、何千年もの進化によって形作られた征服を描いています。ゾンビ菌の胞子は、ハエの外骨格と精神に侵入し、菌の増殖に適した場所に移動するよう強制します。そしてハエの体から子実体が噴出し、より多くの犠牲者を感染させるために放出されるのです。」とGarcia-Roaは説明している。

この菌は昆虫に寄生し、宿主を殺したり、衰弱させたりする。胞子が宿主の脳や中枢神経系を支配するため、「ゾンビ菌」と呼ばれるのだ。

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自然との関わり部門受賞:発酵したナナカマドの実を食べるキレンジャク(画像:Alwin Hardenbol)

「自然界の関係」部門を受賞したのは、植物と鳥の相互作用の驚くべき例だ。この写真は、ナナカマドの実を食べるキレンジャクを撮影したものだが、この木の実があることで、鳥は毎年渡りをすることができる。また、この木の実はエタノールを多く含むことがあるため、鳥はその実を処理するために肝臓を平均より大きく進化させたのだそうだ。

「この関係は種の散布に非常に有益ですが、鳥にとって代償がないわけではありません。果実が熟しすぎると発酵が始まり、エタノールが生成されるため、キレンジャクが酔ってしまい、時には死に至ることもあります。当然のことながら、キレンジャクはそのうっかりしたアルコール依存症に対処するために、比較的大きな肝臓を持つように進化してきたのです。」と、写真家のAlwin Hardenbol氏は説明する。

その他に見られる素晴らしい写真の数々に、きっとあなたのインスピレーションも刺激されることだろう。よろしければBMCのサイトで他の写真も見て頂ければと思う。

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masapoco

TEXAL管理人。中学生の時にWindows95を使っていたくらいの年齢。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題が得意だが、テクノロジー関係の話題も大好き。最近は半導体関連に特に興味あり。アニメ・ゲーム・文学も好き。最近の推しは、アニメ『サマータイムレンダ』

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