NuScaleの小型モジュール式原子炉が米国原子力規制委員会により承認、2029年の初稼働を目指す

米国原子力規制委員会(NRC)が行った今回の発表は、急成長するモジュール型原子炉市場にとって大きな前進となるだろう。NRCは、このたびNuScaleが提唱する原子炉の設計について、最終手続きを除くすべてを承認したことを発表した。原子炉としては米国内で7番目の物となるが、小型モジュール原子炉に対して承認がなされるのは初めてのことだ。このNuScale社の開発した小型モジュール式原子炉は、工場で建設された後に、稼働する場所まで運んで用いることが出来るという、これまでにない画期的な物だ。

日本における原子力発電所と言えば、東日本大震災で津波により被災し廃炉になった福島第一原子力発電所のイメージが強いだろう。巨大な建屋や煙突が立ち並ぶ大型施設が創造できると思うが、現在世界的に研究が進んでいる原子力発電所は、小型モジュール型の物だ。(核融合発電はまた別の話になるのでここでは置いておこう)小型モジュール炉は、大型原子力発電所について回る“建設コストが非常に高い”という問題の多くを回避できる物として推進されてきている。

小型でモジュール式であることから、工場で組み立てた後、運転する場所に輸送することができる。また、現地でのカスタムメイドの建設に伴う多くの課題を解決することができる。さらに、問題が発生しても運転員が原子炉を停止させる必要がないパッシブセーフティを可能にする構造になっている。また、もし何か致命的な問題が発生しても、原子炉モジュールを収容する巨大な水槽は分厚いコンクリートの屋根を持ち、耐震設計な上、飛行機が直撃しても衝撃を通さない最後の防衛線になるとのことだ。

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NuScale社の発電所内部(画像:NuScale)

NuScaleは、小型のモジュール式原子炉という点では、市場で唯一の存在ではないが、革命的な設計でありながらも、水冷式原子力発電の基本に立脚しているという、特別な強みを持っている。

また、現在の原子力発電所に比べて小さな設置面積で済むことから、エネルギーを使用する場所の近くに発電所を設置し、送電コストとロスを削減することが可能になると同社は考えている。

ほぼ円筒形のモジュールは高さ約20m、直径約2.7mで、タービンを通して蒸気を送り出すことにより77MWを発生させる。このモジュールを4個から12個、水槽に沈めれば、発電所全体で308〜924MWの出力が可能になる。原子力発電は、多くの地域で自然エネルギーによる電力網の重要なベースラインとなる発電機であり、ニュースケールによれば、その大量生産能力によって、化石燃料による選択肢と比較してもコスト競争力を持つことができるようになるという。

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NuScale社のパワーモジュール(画像:NuScale)

オレゴン州ポートランド郊外に拠点を置くNuScaleは、15年以上にわたって小型のモジュール式原子炉のコンセプトに取り組んできた。2000年代初頭、米国エネルギー省からの資金援助により、複数の大学や政府研究所の利害を統合してスタートしたのが始まりだ。2007年には同社は単独で、原子力規制当局の承認に向けた長い道のりを歩み始めた。このプロセスは、NuScaleのモジュラー型原子炉設計の最初の申請により2016年に正式に開始された。

小型モジュール設計の多くは、原子炉燃料に溶融ウラン塩を使用するなど、従来の原子炉とは異なる技術を採用している。それに対して、NuScaleの原子炉は、燃料と制御棒、エネルギーの輸送に沸騰水を使用する、より伝統的な設計となっている。原子炉全体を大きな水のプールに沈め、停電時には制御棒を重力で原子炉に挿入し、外部の水源から対流冷却を行うなど、運転員不要の安全性を備えている。この水は大量に消費される物ではなく、循環して冷却・再利用される。同社によれば、原子炉はポンプなしでほぼ無限に稼働することができる。

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NuScale社の原子炉イメージ(画像:NuScale)

最初のNuScale発電所は2029年に発電を開始し、2030年には6つのモジュールがすべて稼働する予定だ。アイダホ国立研究所に設置されるカーボンフリーパワープロジェクトでは、約462MWを発電し、その大部分はすでに40年間にわたり配電会社に販売されることが決まっている。

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この記事を書いた人

TEXAL管理人。学校の授業でMS-DOSを使っていたくらいの年代。Windows95の登場で衝撃を受け、テクノロジー業界に興味を持つ。以来ガジェット・ゲーム情報を追い続けてうん十年。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題も大好き。

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