アリの巣はニューラルネットワークのように意思決定を行っていた事を示す研究結果

地下に張り巡らされた複雑なアリの巣は、意思決定を行うときに、まるでニューラルネットワークのように振る舞うことが、新しい研究で明らかになった。

この研究では、アリが、巣の気温が高くなりすぎたときに、いつ、どのように巣から避難するのかを調べた。結果、ある時点で集団的判断が下され、巣を放棄すべきであると結論づけられたとのことだ。

その様はまるで、神経細胞が脳全体で活動するかのように、アリがシステム全体として行動し、すべてが一体となって機能していた。そこではメリット(作業を継続する)とコスト(過熱してコロニーのメンバーを失う)を天秤にかけ、判断が下されている。

ニューヨークのロックフェラー大学で社会進化行動学研究室を率いるDaniel Kronauer氏は、「私たちは、アリのコロニーを、入力を知覚し、それを行動の出力に変換する認知的なシステムとして理解するアプローチを開拓しました。これは、昆虫社会がどのように集団計算を行うのかを本当に理解するための最初のステップの一つです」と述べている。

実験では、温度制御された巣、追跡カメラ、そして、ドットで印をつけられたアリが用意された。働きアリ36匹と幼虫18匹のコロニーで、温度が摂氏34度程度になるとアリは巣から退去することがわかった。

しかし、巣のサイズが大きくなるにつれて、退避を余儀なくされる温度の閾値も大きくなり、200匹のアリの巣では、摂氏36度を超えて熱レベルが上昇するまで、昆虫が留まり続けたのである。

アリの間では、神経回路網のように興奮因子と抑制因子が競い合っていると思われる。研究チームは、数学的モデリングにより、アリが集団で知覚する閾値が、それぞれのアリの好みを平均化したものではなく、これら2つの要因のバランスに基づいていることを示すことに成功した。また、閾値は固定されておらず、集団の大きさによって変化する創発的な特性のようだ。

この研究で明らかでないのは、なぜ、集団の大きさが、温度が上がったときに、アリがどれだけ熱心に逃げ出すかに影響を与えるのか、ということだ。個々のアリは集団の大きさを知らないと思われるので、何か別のことが起こっているのだろうか。

研究チームは、アリの数が増えると、フェロモン(化学伝達物質)がアリの間を行き来して、その効果を増大させるのではないかという仮説を立てている。また、アリの数が多くなると、移動が困難になるため、メリットとコストの計算が変わってくるという考え方もある。

この研究は、アリを集団レベルで観察するための、しっかりとした測定可能な枠組みを提供するものである。今後の研究では、より多くのパラメータを追加し、操作することで、この集団的な意思決定についてより良いアイデアを得ることができるだろう。

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この記事を書いた人

TEXAL管理人。学校の授業でMS-DOSを使っていたくらいの年代。Windows95の登場で衝撃を受け、テクノロジー業界に興味を持つ。以来ガジェット・ゲーム情報を追い続けてうん十年。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題も大好き。

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