Apple、「watchOS 9」を発表 – ワークアウトの強化や健康管理機能の追加など

masapoco
投稿日
2022年6月7日 11:16
Apple WWDC22 watchOS 9 hero 220606

Appleは、6月6日(現地時間)より行われている開発者会議「WWDC 2022」において、Apple Watch用OSの新バージョン「watchOS 9」を発表した。

より多くの文字盤・強化されたワークアウトアプリ・健康管理のwatchOS 9

新たなwatchOS 9では、Apple Watchのユーザーはより多くの文字盤が選択できるようになる。そしてコンプリケーションも追加になり、カスタマイズの範囲が広がっている。アップデートされたワークアウトアプリケーションでは、高度な指標、表示に加えて、有能なアスリートからインスピレーションを得たトレーニング体験が、ユーザーのワークアウトを次のレベルに押し上げるという。また、健康管理のための機能も追加され、睡眠アプリケーションに睡眠ステージが加わり、ユーザーの状態に関してさらに詳しい情報を提供、更に新しいFDA認可の心房細動履歴機能が搭載される。服薬アプリも追加され、ユーザーは服薬の管理、把握、記録を便利に目立たずできるようになる。

すべての人のための文字盤

watchOS 9には、中国文化、イスラム文化、ヘブライ文化などの多くの文化圏で使用されているグレゴリオ暦と太陰暦の関係を表現した「ルナー」、アーティストJoi Fulton氏とのコラボレーションによって生まれたApple Watchだけのダイナミックなアート作品「プレイタイム」、クラシックでDigital Crownを回すとスタイルが変化するタイポグラフィが強調された文字盤「メトロポリタン」、完全に生まれ変わり、新しい星図と現在の雲のデータを表示したオリジナル文字盤「アストロノミー」の4つの新しい文字盤が追加されている。

watchOS 9では、「ユーティリティ」「シンプル」「アクティビティアナログ」などのいくつかの最もクラシックな文字盤に強化され現代化されたコンプリケーションが新たに追加されているほか、「モジュラー」「モジュラーコンパクト」「特大」の背景色を編集してさらにパーソナライズできる。

新しい「ポートレート」の文字盤では、猫、犬、風景などのより多くの写真で深度エフェクトが使える。また「カリフォルニア」と「タイポグラフィ」の文字盤にはオプションとして漢字が追加されている。集中モードでは、「パーソナル」集中モードの間は「写真」の文字盤を表示するといったように、iPhoneで特定の集中モードを開始した際にApple Watchに自動的に表示される文字盤を選択できるため、ユーザーが集中するのに役立てられる。

ワークアウトアプリケーションのアップデート

Apple Watchで最も人気の高いアプリケーションの1つであるワークアウトアプリケーションがアップデートされ、パフォーマンスの測定のためのより詳しい指標と新しいトレーニング体験がユーザーのフィットネス目標の達成をサポートする。お馴染みのセッション中の表示は、Digital Crownを回して読みやすいワークアウト表示を切り替え、ユーザーはさまざまなトレーニングスタイルの重要な指標を確認できるようになった。

「心拍数範囲」は、手動で作成することも、パーソナライズされたヘルスケアのデータを使って自動的に計算することもでき、ワークアウトの強度のモニタリングに役立つ。インターバルトレーニングはどのようなトレーニング計画でも重要な役割を占めています。watchOS 9ではワークアウトアプリケーションにカスタムワークアウトが追加され、運動と休憩のインターバルを含む構造化されたワークアウトを作成できるようになった。ペース、パワー、心拍数、ケイデンスなどの新しい通知を追加し、ワークアウト全体を通じてユーザーをガイドする。

トライアスロン選手向けに、ワークアウトアプリケーションは「マルチスポーツ」という新しい種類のワークアウトに対応するようになり、モーションセンサーを使用して動きのパターンを認識し、スイミング、サイクリング、ランニングの一連のワークアウトが自動的に切り替わるようになる。それぞれのワークアウトが終わると、フィットネスアプリケーションの新デザインの概要ページに、その他の詳細とインタラクティブなグラフが表示され、より正確な分析に役立つ。

ランニングに役立つ新しい指標

watchOS 9では、ユーザーがどれだけ効率的に走れているかを記録するのに役立つさらに多くのデータと機能を追加する。「歩幅の長さ」「接地時間」「上下動」などの新しい「ランニングフォーム指標」のすべてを指標としてワークアウト表示に追加することができる。これらの指標はフィットネスアプリケーションの概要とヘルスケアアプリケーションに表示されるため、ユーザーは長期的な傾向を確認してパターンを把握することができる。

ユーザーは自己ベストまたはよく使うコースの前回の記録のどちらかを選んで競争でき、そのペースより速い、または遅れているという通知や、コースから外れた時に通知をワークアウト中に受け取ることができる。さらに、新しいペース体験では、ユーザーは距離と完走時間の目標を設定することができ、目標を達成するために必要なペースが計算され、表示されるペース通知や指標をワークアウト中に確認することができる。

スイミングの機能強化

プールスイミングワークアウトの新しいストロークタイプとしてキックボードが検知されるようになる。ユーザーがキックボードを使って泳いでいる時、Apple Watchはセンサーフュージョンを用いて自動的に認識し、ワークアウトの概要ではストロークタイプと泳いだ距離が分類される。スイマーは、プールの端から端まで泳ぎ終えるのにかかったストローク数と秒数を合わせたSWOLFスコアによって泳ぎの効率を記録し、ワークアウトの概要で各セットの平均SWOLFを確認することができる。

Apple Fitness+ワークアウトを最大限に活用

Apple Fitness+は、Apple Watchを中心に考えられた最初のフィットネスとウェルネスのためのサービスで、あらゆる人に受け入れられるようにデザインされている。Apple Watchからワークアウトの指標をiPhone、iPad、Apple TVの画面にリアルタイムで賢く取り込み、開始から終了まであらゆるレベルのユーザーのモチベーションを維持します。watchOS 9ではユーザーがワークアウトを最大限に活用できるようにするため、トレーナーのコーチングに加えて「Intensity for HIIT, Cycling, Rowing, and Treadmill」「Strokes per Minute (SPM) for Rowing」「Revolutions per Minute (RPM) for Cycling」「Incline for walkers and runners in Treadmill」などのガイダンスがFitness+ワークアウトの画面上に表示されるようになる。

Apple TVがないFitness+のサブスクリプション登録者は、AirPlayを使って対応している他社製テレビやデバイスにワークアウトやメディテーションをストリーミングして画面上で指標を確認でき、どこでもいつでもトレーニングできるようになる。

睡眠に関する詳しい情報

Apple Watchの睡眠体験はすでに、就寝準備や就寝時刻のスケジュールを立てたり、睡眠状態を記録して目標を達成したりするために役立っている。watchOS 9では睡眠記録に睡眠ステージが加わり、さらに詳しい情報が提供される。Apple Watchは加速度センサーと心拍数センサーからの信号を使って、ユーザーがレム睡眠、コア睡眠、深い睡眠の状態にあることを検知する。ユーザーはApple Watchの睡眠アプリケーションで睡眠ステージのデータを確認したり、iPhoneのヘルスケアアプリケーションのグラフで睡眠時間などの詳細な情報や、心拍数や呼吸数などの追加の指標を確認することができるようになる。

機械学習モデルは、これまで実施されたウェアラブルの調査において最大数で最も多様な被験者を対象とした睡眠ポリグラフ検査の1つの臨床データと照らし合わせてトレーニングと検証が行われた。睡眠の科学については現在も研究が進められており、ユーザーはリサーチアプリケーションを通じてApple Heart and Movement Studyに睡眠ステージのデータを提供し、発見の可能性に貢献することができる。

これまでにない心房細動履歴

現在、Apple Watchの心電図アプリケーションと不規則な心拍の通知機能によって心房細動(AFib)の兆候を特定することができる。心房細動は、治療をせずに放置すると脳卒中につながるおそれがある主な疾患の1つだ。

研究調査によると、心房細動の継続時間は、その人の症状、全体的な生活の質、合併症のリスクに影響を与える可能性があるとされている。これまで、心房細動の頻度を長期にわたって記録したり、健康状態に影響を及ぼす可能性がある生活習慣関連因子を管理するための簡単な方法はなかった。アメリカ心臓協会によると、修正可能な生活習慣関連因子を対処することで、心房細動の継続時間が減少する可能性があるされている。

watchOS 9では、心房細動と診断されたユーザーは、FDA認可の心房細動履歴機能を有効にし、心拍リズムに心房細動の兆候が現れたおおよその頻度などの重要情報にアクセスすることで、健康状態についてより詳しい情報を得ることができる。また、毎週届く通知によって頻度を把握したり、ヘルスケアアプリケーションで、心房細動に影響を及ぼす可能性がある睡眠、アルコール摂取量、運動などの生活習慣関連因子を含む詳細な履歴を確認したりできるようになる。

ユーザーは心房細動に関する自身の詳細な履歴と生活習慣関連因子の情報が記載されたPDFをダウンロードして医師や医療従事者と簡単に共有し、より詳しい情報に基づいた会話に役立てることができる。

服薬

Apple WatchとiPhoneの新しい服薬の体験では、ユーザーが服薬リストを作成し、服用スケジュールとリマインダーを設定し、薬の情報をヘルスケアアプリケーションで確認することによって、薬、ビタミン、サプリメントの管理と記録ができるようになる。Apple Watchの服薬アプリケーションによって、ユーザーは薬の服用を便利に目立たず、いつでもどこでも簡単に記録できるようになる。

米国のユーザーは、ヘルスケアアプリケーションに追加した薬の間で重大な相互作用を引き起こす可能性がある場合に通知を受け取ることができる。

1日複数回、1週間に1回、頓服などそれぞれの薬の服用に関するカスタムスケジュールを作成し、リマインダーを設定して記録に役立てることができる。

プライバシー

プライバシーは、Appleのすべての機能にわたる設計と開発の基礎にある理念です。ユーザーのiPhoneがパスコードや、Touch ID、またはFace IDでロックされている場合、ヘルスケアアプリケーションにある健康とフィットネスのデータは、メディカルIDを除いてすべて暗号化されます。iCloudにバックアップされたヘルスケアアプリケーションのデータはすべて、送受信中もAppleのサーバ上で保存されている時も暗号化されます。

watchOS 9のその他のアップデート

  • 常に情報とつながっていられることは、Apple Watchの体験のパワフルな要素の1つです。watchOS 9では通知の再設計により、Apple Watchの使用中は新しい細いバナーで通知が表示され、目を引きながらも集中を妨げない形で表示されるようになります。
  • ファミリー共有設定がホームアプリケーションに対応し、HomePodスピーカーやスマートホームのアクセサリを操作するメンバーとして子どもを招待できるようになります4。Appleウォレットで自宅の鍵やホテルの鍵を使うこともできます。
  • Apple Watchの新しいクイックアクションでは、ダブルピンチジェスチャーを使って、電話の応答や終了、写真の撮影、再生中アプリケーションでのメディアの再生や一時停止、ワークアウトの開始、一時停止、再開など、さらにたくさんのことができます。これは、上肢に障がいのあるユーザーがディスプレイをタップしなくてもピンチやクレンチのようなジェスチャーでApple Watchを操作するための方法である、Apple WatchのAssistiveTouchで使われる革新的なテクノロジーを基盤としています。
  • ペアリングしたiPhoneからApple Watchを遠隔で操作できるようにするApple Watchのミラーリングにより、身体機能に障がいのある方々にとってApple Watchがこれまでに以上に使いやすくなります。Apple Watchのミラーリングでは、音声コントロールやスイッチコントロールのようなiPhoneの支援機能を利用してApple Watchを操作できるため、Apple Watchのディスプレイをタップする代わりに音声、サウンドアクション、ヘッドトラッキング、他社製の「Made for iPhone」スイッチを使ってApple Watchを操作できます5。Apple Watchのミラーリングは、ハードウェアとソフトウェアの統合やAirPlayにおける進歩を利用することで、身体機能に関するこれらのアクセシビリティ機能を使うユーザーが、血中酸素ウェルネス、心拍数、マインドフルネスなどApple Watch独自のアプリケーションを活用できるようにします。
  • Apple Watch Series 7のQWERTY配列のキーボードに日本語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語(ブラジル)、スペイン語(メキシコ、スペイン、中南米)のサポートが追加されます。
  • 再設計されたDockでは、使用中のアプリケーションがほかのアプリケーションよりも優先的に表示され、より簡単にすばやくそのアプリケーションに戻れるようになります。
  • リマインダーアプリケーションでは、日付と時刻、場所、タグ、メモなどの主要な詳細情報を追加したり編集したりできるようになります。
  • アップデートされたカレンダーアプリケーションでは、Apple Watchから直接新しいイベントを作成できるため、生産性を維持できます。アップデートされた「リスト」「日」「月」の表示に加え、はじめて「週」表示にアクセスできるようになったことで、より多くの方法でカレンダーのイベントをスクロールできるようになります。
  • 「心拍数回復」は、心血管系の健康状態のバロメーターとして役立つフィットネス指標です。Apple Watchでは、屋外ウォーキング、ランニング、ハイキングワークアウトで、強度がピークに達していなくても、「心拍数回復」の推定値が表示されるようになります。この指標はヘルスケアアプリケーションで長期にわたって追跡できます。
  • 新しいAPIにより、CallKitと共有シートへの対応、Photos pickerへのアクセス、またwatchOSのアプリケーションとApple TVの統合が可能になり、デベロッパはクラス最高のサードパーティアプリケーションを開発できるようになります。

開発者向けベータ版は本日よりリリース。パブリックベータは来月リリースとのことだ。



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