Apple、「iPadOS 16」を発表 – パワフルな生産性向上のための新機能の数々

masapoco
投稿日
2022年6月7日 10:17
Apple WWDC22 iPadOS16 hero 220606

Appleは、6月6日(現地時間)より行われている開発者会議「WWDC 2022」において、iPad用OSの新バージョン「iPadOS 16」を発表した。

ステージマネージャーや外部ディスプレイなどの新たなマルチタスキング体験

メッセージで共有し、つながる

メッセージの新しい機能により、ファイル、Keynote、Numbers、Pages、メモ、リマインダー、Safari、他社製アプリケーションで、共同作業を始めたり共有コンテンツを管理するのがさらに簡単に!ユーザーがメッセージで共同作業の招待を送信すると、そのスレッドに含まれている全員が該当の書類、スプレッドシート、プロジェクトに自動的に追加されるようになる。共有されたファイルに誰かが変更を加えると、メッセージのそのスレッドの一番上にアップデートが表示され、全員が確認できる。共同制作プロジェクトで作業中のユーザーは、関連するメッセージの会話に簡単に参加したり、タップするだけで共同作業の仲間とFaceTime通話を始められる。

ユーザーは、送信して間もないメッセージを編集または取り消したり、最近削除したメッセージを復元したり、後で対応できるように会話を未読にすることができるようになる。また、メッセージでSharePlayセッションを開始できるようになり、映画、テレビ番組、ワークアウト、ゲームなどの共有アクティビティを選んで、メッセージでチャットしながら、同期した状態で一緒に楽しむことができる。

新しい共同作業アプリケーションでのリアルタイム共同作業スペース

1枚の巨大なキャンバスに複数人で書き込みが出来る共有作業アプリケーションが追加された。ここではレイアウトやページサイズを気にすることなく、ユーザーは表示、共有、共同作業のすべてを一か所で行うことができる。また、Apple Pencilに完全対応している。ユーザーは、リアルタイムの共同作業スペースを楽しみながら、ほかの人が行ったコンテンツの追加や編集などを見ることができる。年内にiPadOS 16に加わる予定の新しい共同作業アプリケーションでは、共同作業者は、FaceTimeからセッションを始めたり、ほかの人が行ったアップデートをメッセージのスレッドで確認できるようになる。

新しい共同作業アプリケーションは、Apple Pencilに完全に対応し、ユーザーは柔軟なキャンバス上でリアルタイムで表示、共有、共同作業ができる(出典:Apple)

メールに新しいスマートツールが登場

メールに導入される新しいツールにより、かつてないほど簡単に生産性を高められるようになる。ユーザーは、受信者の受信ボックスに届く前の短い間に、メッセージの送信を取り消したりEメールを送信するように予約したり、フォローアップをすぐに送信できるように送信済みのEメールを受信ボックスの一番上に移動したりすることができる。「あとでリマインダー」を使うと、メッセージを任意の日時に再表示することができ、添付ファイルや受信者などメッセージの重要な内容を入れ忘れた場合は通知を受け取ることができる。さらに、まったく新しい検索体験として、入力ミスの修正や検索語の同義語の使用によって、一段と精度が高く正確な検索結果を提示する。また、連絡先や共有コンテンツなど、より豊富な結果を見ることができる。

新しいiCloud共有写真ライブラリで思い出を追体験

iCloud共有写真ライブラリは、最大6人の家族メンバーで写真をシームレスかつ自動的に共有するための最も簡単な方法となる。iPad、iPhone、Macで写真が共有でき、家族全員が参加して、メモリー、おすすめの写真、写真ウィジェットでコレクションを楽しむことができる。ユーザーは過去の写真をすべて共有することも、設定ツールを使用して、共有を開始する日または写真に写っている人をもとに特定の写真を追加することもできる。写真は、コレクションに手動で追加することも、Bluetoothによる近接検出や「For You」の共有の提案を使って追加することもできる。共有ライブラリ内で誰かが写真を追加、編集、または削除すると全員のライブラリが更新される。

共同作業とセキュリティの新機能がSafariに登場

Safariは大幅にアップデートされ、より共同作業が行いやすく、カスタマイズ可能で、安全になる。共有タブグループを使うと、ユーザーは一連のタブ上で友達と共同作業したり、一緒に作業しながら瞬時にタブのアップデートを確認することができ、また、タブやブックマークを共有したり、Safariから会話を始めることができるようになる。タブグループには専用のスタートページがあり、背景画像、ブックマーク、そして全員が表示および編集可能な独自のセクションをカスタマイズできる。

Web上とアプリケーション内でのパスワードに代わるものとして設計された、より簡単で安全なサインイン方法であるパスキーにより、Safariでのブラウズがさらに安全になる。パスキーはiPadに保存され、ユーザーがパスキーを作成したサイトに固有のものとなる。パスキーはデバイス上に保持される固有のデジタルキーであり、Webサーバ上には決して保存されないため、ハッカーが漏洩させたりユーザーを騙して共有させたりすることはできない。ユーザーは、iPadでQRコードをスキャンして、Face IDまたはTouch IDで認証することにより、Appleデバイスでも他社製デバイス上でもWebサイトやアプリケーションにサインインできる。

天気アプリケーションがiPadに登場

これまでiOSにのみ提供されていた天気アプリがiPadに登場!美しいアニメで表現されるお天気を、タップするだけで、最も重要な気象情報を見たり、マップで降水量、空気質、気温を確認することができる。ユーザーの地域で重大な気象警報が発令された場合に通知を受け取ることや、色付けされたスケールで空気質をチェックすることもできるという。

「テキスト認識表示」と「画像を調べる」にパワフルなアップデートを追加

「テキスト認識表示」は、デバイス上のAIを使ってシステム全体で画像中のテキストを認識する。また、ビデオ内のテキスト認識も出来るようになり、一時停止中のビデオフレーム内でテキストを完全に操作できるようになった。ビデオ上で1回タップするだけで、ユーザーは言語の翻訳や通貨の変換をすばやく行うことができる。

「画像を調べる」では、タップするだけで画像から対象物を抜き出したり、背景を削除して対象物だけにすることが可能になった。また、認識機能が拡張され、鳥、昆虫、彫像などが追加される。

プロ向け機能により負荷の高いワークフローが進化

iPadOS 16は、クリエイティブなプロフェッショナルにとってiPad Proを不可欠なツールにする新しいパワフルな機能を提供する。リファレンスモードでは、Liquid Retina XDRディスプレイを搭載した12.9インチiPad Proで、レビューや承認、カラーグレーディング、合成といった正確な色味と一貫した画質がきわめて重要なワークフローで色の条件に合わせることができる。

Appleが設計したM1チップのパフォーマンスによって実現する拡大表示では、ディスプレイのピクセル密度を増やすことができ、ユーザーはアプリケーション内により多くのものを表示できる。これは特にSplit Viewを使う時に役立つ。仮想メモリスワップを使用すると、iPadのストレージを使用して、すべてのアプリケーションで利用可能なメモリを拡張できるため、最も負荷の高いアプリケーションに最大16ギガバイトのメモリを提供でき、マルチタスキングを完全にシームレスなものにできる。

ステージマネージャと外部ディスプレイのフルサポートによるパワフルなマルチタスキング

ステージマネージャは、アプリケーションとウインドウを自動的に整理し、タスク間の切り替えをすばやく簡単にできるようにする、まったく新しいマルチタスキング体験だ。iPadでは初めて、ユーザーは重なり合う異なるサイズのウインドウを単一のビューで作成したり、横からウインドウをドラッグ&ドロップしたり、Dockからアプリケーションを開いてアプリケーションのグループを作成できるようになり、さらに高速で柔軟なマルチタスキングが可能になる。ユーザーが作業中のアプリケーションのウインドウは中央に目立つように表示され、開いているほかのアプリケーションやウインドウは最新の順に左側に配置される。

M1チップを搭載したiPad ProとiPad Airで利用可能なステージマネージャは、最大6Kの解像度を備えた外部ディスプレイのフルサポートも実現するため、ユーザーは理想のワークスペースを構成し、iPad上に最大4つのアプリケーション、外部ディスプレイに4つのアプリケーションを表示しながら作業できる。

iPadOS 16のその他の機能

  • 音声入力は、ユーザーが音声、タッチ、Apple Pencilを使用したスクリブルの間を簡単に切り替えられる、新しいデバイス上の体験を提供します。ユーザーは、キーボードでの入力、スクリブルでの入力、テキストフィールドのタップ、カーソルの移動、QuickTypeの候補の挿入のすべてを、音声入力を止めることなく実行できます。音声入力には、句読点の自動追加と絵文字の音声入力の機能もあります3
  • Siriには、設定不要でアプリケーションから自動的にショートカットを実行する機能が加わります。また、メッセージの送信時にSiriを使って絵文字を挿入したり、設定内の機能を有効にすることでメッセージ送信時の確認手順をスキップすることができます。Siriは、インターネット接続がないオフラインの状態で、より多くの種類のリクエストを処理できるようになりました。また、ユーザーは「Hey Siri、電話を切って」と言うだけで、完全にハンズフリーで電話を切ることができます4
  • ホームアプリケーションには、スマートホームアクセサリの操作、整理、表示、コントロールがさらに簡単で一目でわかるようになる、まったく新しいデザインが採用されます。また、互換性のあるアクセサリを様々なプラットフォーム間でシームレスに連係できるようにするスマートホームの接続規格「Matter」に対応5することで、最高レベルのセキュリティを保ちながら、より多くの選択肢と互換性を提供します。
  • デスクトップクラスのアプリケーションでは、システム全体で一貫した取り消しとやり直しの体験、再設計された検索と置換の体験、カスタマイズ可能なツールバー、ファイルアプリケーションでのファイルの拡張子の変更やフォルダのサイズの確認など、システムの要素や操作からMacで利用可能な新機能まで、iPadのディスプレイに最適化された新しい機能が実現します。
  • Apple Newsには「My Sports」が加わり、ユーザーは1つのアプリケーションの中で、好きなチーム、リーグ、選手をフォローしたり、地域や国内外の何百もの最高のスポーツメディアから厳選されパーソナライズされたストーリーを見たりすることができます6
  • メモを使うと、ユーザーは手書き文字を自動で整える機能によって、より綺麗な手書きメモを作成したり、自分のiCloudパスワードを使って個人用メモをロックしたり、クイックメモにスクリーンショットを追加したり、パワフルなスマートフォルダとフィルタ機能によって、これまで以上に整理することができます。
  • FaceTimeのHandoffにより、ユーザーは1台のAppleデバイスでFaceTime通話を開始した後、近くにある別のAppleデバイスにシームレスに引き継ぐことができます。別のデバイスに切り替える時は、接続されたBluetoothヘッドセットも同時に切り替えられるため、会話を少しも聞き逃すことはありません。
  • 新しいアクセシビリティツールには、FaceTimeのライブキャプション7、周囲をより多彩に表現する新しい拡大鏡モード8、iPad上の入力フィールド、メニュー項目、ボタンのラベル、その他のテキストをさらに読みやすくする「ポイントしたテキストの拡大機能」、VoiceOverと「読み上げコンテンツ」の20以上のサポート対象言語の追加などが含まれます。
  • 年内に、Game Centerにデザインが刷新されたダッシュボードが導入され、プレイヤーは友達がどのゲームをプレイしているかや、様々なゲームでの友達の達成状況やハイスコアを一か所で見れるようになります。また、SharePlayとの統合により、マルチプレイヤーゲームを友達とFaceTime通話で自動的に開始できるようになります。

開発者向けベータ版は本日よりリリース。パブリックベータは来月リリースとのことだ。



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