天文学者は、「種族III(Population III / Pop III)」と呼ばれる、若い宇宙で最初に誕生した星を探し続けている。このたび、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がこの星を発見できるかもしれないことが明らかになった。
現在宇宙に存在する星は、宇宙で最初に出現した世代とは全く異なる。星の世代が変わるたびに、水素やヘリウムよりも重い金属が混じり始める。このような金属の存在は、次世代の星の特徴を根本的に変えてしまう。
一方、第一世代の星は、まだ解明されていないメカニズムによって、ほぼ純粋な水素とヘリウムの混合物から形成された。このような原始的な星のスープから生まれた最初の世代の星を種族III(Pop III)星、中間世代の星を種族II星、そして最新世代の星を種族Iと呼ぶが、現代の宇宙で種族III星が残っているかどうかを何十年も探し続けているが、結局は見つかっていない。
つまり、種族III星を見つけるには、もっと昔の時代までさかのぼらなければならないのだ。しかし、宇宙の歴史の初期を観測することは非常に困難であり、我々の探索が成功するかどうかは不明だ。最近、宇宙物理学者のチームが、宇宙で最初の星がどのように形成されたかをコンピューターでシミュレーションした。このシミュレーションでは、種族III星と呼ばれる星がいつまで形成され続けるかを調べた。
彼らは、比較的成熟した銀河でも種族III星が出現することを発見したのだ。その銀河には、まだ純粋な水素とヘリウムの貯蔵庫が残っているはずだ。もし条件が整えば、種族III星はそのような場所で形成される可能性があるのだ。そのような星は、厳密には宇宙に現れた第一世代の星ではないのが、それでも多くの同じ性質を持っている。
さらに天文学者は、種族III星が、純粋な水素とヘリウムが銀河に降り注ぎ、銀河の内部を汚染する星の影響を受けない、非常に重い銀河の外縁部に現れる可能性をシミュレーションによって発見した。このシミュレーションは、種族III星が、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の最も深い能力を発揮できるぎりぎりのところまで、銀河の内部にとどまっている可能性を示唆している。
これは、JWST が遠方の銀河にある種族III星を直接観測できる可能性があることを示唆しているのだ。さあ、探すぞ!
この記事は、PAUL M. SUTTER氏によって執筆され、Universe Todayに掲載されたものを、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)に則り、翻訳・転載したものです。元記事はこちらからお読み頂けます。
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