フランスのIT企業Capgeminiが開発したAIビジョンシステムを使い、フランスの税務署(通称「Le Fisc」)は、これまで申告されていなかった20,356の住宅用プールを特定した。The Guardian紙によると、これにより1,000万ユーロ(約14億円)の追加税収が見込まれており、今後政府は別館やベランダなど他の申告不要の建築物にも課税する方向に動いているとのことだ。
Capgeminiは、Googleクラウドコンピューティングを利用して、フランス国立地理森林情報研究所が撮影した公開航空写真からプールを自動的に認識し(例えば、青い四角形を探す)、その結果を不動産や税務のデータベースの記録と比較することで未申告のプールを発見する。その結果、該当する住所にプールが登録されていない場合、その所有者は税法に違反していることになる。昨年10月から、96都県のうち9都県を対象にこの調査は試験的に行われていた。当初は、ソーラーパネルとプールを混同し、30%の誤差が生じたが、その後、機械学習の精度は向上し、「問題は解決している」と、Le Fiscは述べている。
フランス政府は、不動産の賃貸価格を基準に課税しているが、プールのような増改築をすると、賃貸価格は上昇する。例えば、30平方メートルのプールがあれば、年間約200ユーロの税金が加算される。フランスでは最近、猛暑のためプライベートプールの人気が高まっているが、フランスは歴史的な干ばつに見舞われており、大量の水を使用するプールについては賛否両論もあるようだ。フランス緑の党(Europe Écologie les Verts)のある議員は、個人用プールの新設を禁止することを否定し、話題となった。
フランスの新聞Le Parisienによると、未登録のプールを発見するプロジェクトがやや物議をかもしているが、その理由は少し予想外かもしれない。なぜなら、プールを発見することが非難されているのではなく、パリに本社を置く多国籍IT企業であるCapgeminiが、このプロジェクトのクラウド処理の下請けとしてアメリカのハイテク企業Googleを起用したことが非難の的になっているのだ。Googleは、フランス政府との間で長年にわたり税務上の係争を繰り返してきた経緯がある。
現在96都県のうち9都県でおこなわれているこのプロジェクトは、近々全国に展開される予定とのことだ。結果として、推定4000万ユーロ(56億円)の追加税収が見込まれている。
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