ChatGPTやMicrosoftのBing AIなどのAIチャットボットが急増する中、企業はAIモデルを最新の状態に保ち、幻覚や誤った情報、さらには不気味な発言を吐き出すことがないようにしたいと考えるようになった。
そして、そういったチャットボットに適切で信頼できる答えを返すよう求める事が出来る「プロンプトエンジニア」という、新たな職業も誕生している。
しかし、プロンプトエンジニアリングは本当に信頼できる長期的なキャリア選択になるのだろうか?それとも数年のうちに完全に忘れ去られる一時的なものなのだろうか?The Washington Post紙が先週報じたように、この話題については専門家の間でも意見が分かれている。
OpenAIのChatGPTやMicrosoftのBing AIのようなチャットボットが作り話をしがちであることは既に広く知れ渡っている。これらは、でっち上げ、時におかしな発言をして質問者を困惑させる。
そこで登場するのがプロンプトエンジニアと言うわけだ。彼らはチャットボットに依頼したい内容について、内容を平易に、チャットボットに認識させやすいようにする。
プロンプトエンジニアリングを研究している英国のプログラマー、Simon Willison氏はThe Washington Post紙に次のように語っている。「私は20年間ソフトウェアエンジニアをしてきたが、いつも同じだった。あなたがコードを書けば、コンピュータはあなたが指示したとおりに動いてくれました。ですが、プロンプトでは、そのようなことは一切ありません。言語モデルを作った人たちは、それが何をするものなのかさえも教えてくれません」
Teslaの元AIチーフAndrej Karpathy は、プロンプトエンジニアを、AIの真の能力を引き出すことができる「大規模言語モデル(LLM)心理学者」のような存在と表現した。
こうしたAIチャットボットを支える企業は、このスキルに大きな価値を置いている。
「チャットボットのペルソナのために本当に素晴らしいプロンプトを書くことは、驚くほどレバレッジの高いスキルであり、自然言語を少し使ったプログラミングの初期の例です」と、 OpenAI CEO Sam Altman氏は先月、ツイートしている。
しかし、AIチャットボットの発言は予測不可能であることから、すべての専門家がプロンプトエンジニアリングの効果を確信しているわけではない。
ワシントン大学の言語学助教授、Shane Steinert-Threlkeld氏はThe Washington Post紙にこう語っている。「科学ではないのです。”熊をいろいろな方法で突いて、どう唸り返すか見てみよう”ということなのです」
そのため、「流行り廃りがある」と囁かれている。
ウォートン・スクールのEthan Mollick教授は、授業で学生にChatGPTの利用を義務付けているが、プロンプトエンジニアの役割は流行であり、そのうち衰退すると考えているという。
「プロンプトエンジニアが長期的に大活躍することはないだろう。そしてプロンプトエンジニアは未来の仕事ではない、という強い疑念がある」とMollick氏は2月末にツイートしている。
しかし、Business Insiderが報じているように、企業はすでに、LLMを促し、微調整することを任務とする従業員を雇用している。
頻繁に飛行機を利用する人のためのニュースサイトBoardingAreaは、「キュレーションと再出版の取り組みでコンテンツを最適化するためのプロンプトを構築し、完成させる」ことに専念するパートタイム「ChatGPT専門家」を募集していると、求人情報誌に書いてある。
中には、プロンプトを購入する企業すらある。Krea、PromptHero、Promptistなどのマーケットプレイスも、特定の結果を生み出すためにプロンプトを購入しようとしている人々のために出現したのだ。
AI業界は猛烈なスピードで成長しているが、この技術に対する批評家は、崩壊する運命にある「AIバブル」を見ているのではないかと心配し始めており、その結果、生み出された迅速な技術者が一掃されてしまうかもしれない。
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