イギリスのチップメーカーであるGraphcore が、英国のArm、日本のSoftBank、そしてChatGPTの開発元である米国のOpenAIを含む新たな買い手を探している事が報じられた。Telegraph紙によると、同社は大赤字をカバーできるような取引の可能性について交渉中だという。
2016年にSimon KnowlesとNigel Toonによって設立されたGraphcore社は、MicrosoftやSequoia Capitalから投資を受け、機械学習や人工知能の仕事をパワーアップさせるインテリジェント・プロセッシング・ユニット(IPU)チップを開発してきた。かつてはAI分野でNVIDIAの競合と目されていた。
同社は、IPUは大規模な並列処理とオンチップ・メモリによってGPUを凌駕できると主張していた。また、GPUに依存している現在の生成AIの重要な問題として挙げられている、消費電力の増大に関し、より少ないエネルギー消費でAIワークロードを実行することができる点もメリットだ。
だが、同社のIPUは
同社は、米国のチップ規制の結果、中国事業の閉鎖を余儀なくされたことで、収益が2023年には46%もの大幅な落ち込みを見せ、その結果新たな資金を必要としていると発表していた。
こうした影響もあり、同社は他の多くのハイテク企業と同様に従業員数を削減し、海外にあるオフィスを閉鎖するなどして、経営再建を図っていた。
2020年には28億ドルという高い評価を得ていた同社だが、The Guardian紙は現在のGraphcoreの市場価値を、投資家が株式の価値を高めた結果としても、5億ドル程度にまで下落している可能性を報じている。
OpenAIは以前より、現在のGPU需要の高まりや、その必要とする処理能力の増大と言った課題に対処するため、独自にチップ開発を行う可能性も報じられていた。
そうしたこともあり、もしOpenAIがGraphcoreを買収するとなれば、Graphcoreにとってのみならず、OpenAI、ひいてはAI業界にとって大きな波を起こす可能性がある。上記のGraphcoreの主張が正当なものならば、GPT-4のLLMをより安価に実行できるようになる可能性があり、サブスクリプションコストの低下につながる可能性がある。また、より大規模な次世代LLMをコスト効率よくホストしたい場合にも役立つだろう。
ちなみに、昨年には、Graphcoreの従業員の一部がMetaに引き抜かれたことも報じられている。彼らは現在Metaが独自に開発するサーバーデータトラフィックを最適化するチップやAIモデルのトレーニングおよび推論用のチップなどの開発に携わっているものとみられる。
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