ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は最近、壮大な渦巻きを描くM74銀河の画像を公開し、この望遠鏡がこれまでに人類が作った最高の宇宙望遠鏡である理由を改めて証明した。M74銀河は、他の銀河よりも暗く、幻の銀河(Phantom Galaxy)とも呼ばれている。もっとも“銀河らしい”銀河とも言えるこの銀河の新たな画像は、欧州宇宙機関(ESA)によって公開された。
今回公開された画像は、これまでの画像と異なり、合成画像だ。ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた可視光・紫外線の波長と、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が捉えた赤外線を合成し、出力した物だ。この合成画像は、以下の通りとなる。左がハッブルがとらえた物、右がウェッブがとらえた物、そして真ん中がそれらを合成した画像だ。ウェッブが捉えた M74 は、「グランドデザイン渦巻き型銀河」の外縁部にあるガスや塵を鮮明に映し出している。また、その中心には核となる星団があることがわかる。
この「幻の銀河」の新しい姿は、画像が美しいだけでなく、ハッブル宇宙望遠鏡が科学界にまだどれだけのものを与えているかを証明するものだ。欧州宇宙機関は、ハッブル宇宙望遠鏡による M74 の観測で、銀河の中に「HII」領域と呼ばれる星の形成があることを明らかにしたと述べている。これは、15年間しか稼働しないと予想されていた望遠鏡が32年間も健在であり、今も活躍しているという事実を認めざるを得ないだろう。
ESA は、「ウェッブ望遠鏡による長波長での鮮明な観測により、銀河内の星形成領域の特定、星団の質量や年齢の正確な測定、星間空間を漂う小さな塵の性質についての知見が得られるでしょう。電磁波スペクトル全域で動作する望遠鏡のデータを組み合わせることで、科学者は、たとえウェッブのような強力な望遠鏡であっても、単一の観測装置を使用するよりも天体についてより深い洞察を得ることができます。」と述べている。
コメントを残す