Googleは、5月11日から開催している開発者会議「Google I/O 2022」において、人工知能(AI)で人間の肌の色を分類する際に、10段階の色からなる「Monk Skin Tone(MST) Scale」と呼ばれる新しい尺度を導入すると発表した。これにより、これまで適切に判断されてこなかった人々の肌の色が適切判断されるようになることで、より多くの人々がテクノロジーの恩恵を受けられる様になる事が期待されている。
Google Blog : Improving skin tone representation across Google
- Googleは、自社サービス全体に、肌の色を10段階で評価する「Monk Skin Tone Scale」を導入する事を発表した。
- MSTの導入により、全ての肌の人にテクノロジーが公平に機能することが期待できると言う。
「肌の色」の違いが生むテクノロジーの偏りにメス
これまで肌の色を処理するアルゴリズムでは、長年にわたり、1975年に皮膚科医のB・フィッツパトリックがまとめた「フィッツパトリック・スケール」が用いられてきた。この尺度は、わずか6段階の肌の色で構成されており、さらに、そもそもが人種や民族を分類する物ではなく、紫外線にさらされた肌の色素沈着を分類するものだった。これが、AIが有色人種をうまく識別できない欠陥の一因となっている可能性があった。
こうした問題に対してGoogleは、「Google 画像検索」から「Google フォト」に至るまで、自社のサービス全体に「Monk Skin Tone(MST) Scale」と呼ばれる10段階の肌の色からなる尺度を組み込むことを進めている。この尺度は、カラーリズム(肌の色の違いによる差別)が米国の黒人の生活に与える影響について、何十年にもわたり研究を続けてきたハーバード大学のEllis Monk博士が考案した物で、博士はGoogleがMSTスケールを自社の製品に組み込む作業に力を貸している。
Googleのこの取り組みにより、テクノロジーがすべての肌の色で公平に機能するようになるという。
Googleは今後MSTの利用範囲を拡大していくことを発表している。例えばGoogle 画像検索では、メイクアップ関連の検索結果をMSTに基づく肌の色合いで並べ替えるオプションが提供される。また5月末にはGoogle フォトに、メラニン色素が多い人向けのフィルターが登場する予定だ。
肌色に対するアプローチを更新することで、画像中の表現をより理解しやすくなり、製品や機能がさまざまな肌色でうまく機能するかどうかを評価することができます。これは、コンピューターが画像を見て理解するためのAIの一種であるコンピュータービジョンにとって、特に重要なことです。幅広い肌色を含むように意図的に構築されテストされていない場合、コンピュータビジョンシステムは、肌の色が濃い人ほどうまく機能しないことが分かっています。
MSTスケールは、私たちやテクノロジー業界全体が、より代表的なデータセットを構築し、公正なAIモデルを訓練・評価できるようにするのに役立ちます。例えば、私たちはこのスケールを使って、画像から顔を検出するモデルを評価し、改良しています。
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