超大質量ブラックホールはほとんどの銀河の中心部で発見されているが、それがどのように形成されたかを理解することは、しばらく天文学者を悩ませてきた。最も有力な説のひとつは、超大質量ブラックホールが何度も何度も合体し、より大きなブラックホールを形成するというものだ。しかし、最近の発見はこれを支持するかもしれない。24光年離れた軌道を回る一対の超大質量ブラックホールは、280億太陽質量という驚異的な大きさで、これまでに見た中で最も重い。
ブラックホールとは、脱出速度が光速を超える空間の領域である。定義はもう少し複雑だが、今はこれで十分だろう。ブラックホールは重力崩壊を起こした天体で、最大のものは太陽の数十万倍から数十億倍の質量を持つ超巨大ブラックホールである。現在では、ほとんどすべての大質量銀河の中心に超大質量ブラックホールがあると考えられている。
銀河の合体はよくあることのようで、北半球にある典型的な渦巻き銀河のように、空に見える例も多い。その場合、ブラックホールは連星を形成すると考えられている。最終的には合体すると考えられているが、観測されたことはない。最近「The Astrophysical Journal」誌に掲載された、Tirth Surti氏率いるチームの論文は、このプロセスを探求している。
このような連星ブラックホール系のひとつが、楕円銀河B2 0402+379(このキャッチーな名前は他にあっただろうか)の中に存在し、研究チームはジェミニ北望遠鏡のデータを分析した。この連星系を分解することが可能なので、研究チームはこれまで以上に詳細に研究することができた。ブラックホールは24光年しか離れておらず、データはこの系が太陽の280億倍の質量を持っていることを示している。
研究チームは、ジェミニ多天体分光器(GMOS)を使ってブラックホール近傍の星を調べ、その速度を測定した。速度の測定によって、研究チームは連星ブラックホールペアの質量を決定することができたが、ブラックホールの質量が連星の合体を遅らせたり、あるいは遅らせたりする役割を果たしているという理論も支持するものである。
B2 0402+379はいわゆる「化石銀河団」であり、銀河団全体が合体した結果であることが判明した。このような合体の後、ブラックホールは互いに正面から衝突するのではなく、互いに揺れ動き、共通の重心を回る軌道に落ちる傾向がある。互いに揺れ動くとき、エネルギーはブラックホールから近くの星に移動する。エネルギーが失われるにつれて、ブラックホールはどんどん近づき、恒星質量ブラックホールの場合は合体する。超大質量連星ブラックホールでは、このようなことは起こらないようだ。
研究チームは、質量の大きな連星ブラックホールの場合、合体するのに十分な距離までブラックホールを近づけるには、近傍に膨大な数の恒星が必要だと提案している。その代わり、ブラックホールはその領域からほぼすべての物質を放出し、ペアの軌道が減速して合体できないほど局所的な質量を低くしているようだ。これが最終的な運命で、連星ペアは永遠に軌道を回る運命なのか、それとも最終的に合体する運命なのかはまだわかっていない。しかし、もし合体した場合、その結果生じる重力波は、恒星質量の合体の何億倍もの、はるかに強力なものになる可能性が高い。
論文
- The Astrophysical Journal: The Central Kinematics and Black Hole Mass of 4C+37.11
参考文献
この記事は、MARK THOMPSON氏によって執筆され、Universe Todayに掲載されたものを、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)に則り、翻訳・転載したものです。元記事はこちらからお読み頂けます。
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