IBMのスーパーコンピュータWatsonが、株式市場で驚異的な成果を上げている事が判明した。ある上場投資信託(ETF)は、人工知能(AI)の力を使ってポートフォリオのバランスを取っており、今年はかなりの好成績を収めていると、ETF.comは報じている。
OpenAIの会話型チャットボットChatGPTの能力がメディアを賑わせている今、AIにできないことを探すのは難しい。しかし、誰かがチャットボットに株式市場のアドバイスを求めたことで、人間の創意工夫がまた一つ輝いた。
ETF Managers Groupはフィンテック企業のEqubotと提携し、2017年から1億200万ドルのAI搭載株式ETF(AIEQ)の保有銘柄の選定にAIを活用してきた。同ファンドは今年、バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)のリターンの2倍を記録している。
AIEQはポートフォリオに114の証券を持ち、IBMが構築したスーパーコンピューター「Watson」の処理能力を利用して、保有する証券と交換する証券を決定する。
BloombergやS&Pのような標準的な市場データに単に頼るのではなく、AIEQは決算報告、キーワードデータ、ツイートなどの非構造化データにも目を通し、売買を決定していると、Equbotの最高投資責任者であるChris Natividad氏はETF.comに語った。
VTIが今年1月27日までに6.7%上昇したのに対し、AIEQは同期間に約2倍の13.5%上昇を記録している。
とはいえ、このボットが好成績を残すようになったのは、運用開始から6年近くも待たされた末の事である。
この間、AIEQはVTIを大幅に下回っていた。3年平均で見ると、VTIのリターンが9.1%であるのに対し、AIEQのリターンは4.8%だった。さらに遡ると、VTIのリターンが8.6%であるのに対し、AIEQのリターンは5.5%である。
AIが機械学習によって銘柄を選んでいることを考えると、このロボットの取引が上手くいくようになったのは最近の事で、これから更に良くなっていく可能性もある。
但し、投資に際しては、AIEQは実施された取引に対して0.75%の手数料がかかる点は考慮が必要だ。一方、VTIは取引に0.03パーセントの手数料だけで済む。
既に日本でもAIによる「ロボアドバイザー」は、WealthNaviなどに代表されるように、少しずつ浸透してきているが、将来的にはもっと多くの選択肢から選ぶことができるようになる事だろう。
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