ソフトウェア開発企業UiPathは、AIと自動化が働き方をどのように変え、働き手の生産性や満足度にどのような影響を与えているのかを詳細に調査した「Automation Generation Report」を発表した。この報告書は、6,400人以上の労働者から得られたデータに基づいているが、この結果から、新たな働き手の世代が現れていることが明らかになった。
自動化世代の台頭とその特性
2023年3月に実施されたこの調査は、Researchscapeとの提携により行われた。全世界の経営者6,460名からオンライン回答を得たもので、トップラインの結果は、各国のGDPを代表するように重み付けされ、米国(55%)、日本(10%)、ドイツ(9%)、インド(8%)、英国(7%)、フランス(6%)、オーストラリア(4%)、シンガポール(2%)という結果になっている。
今回の調査では、世界中の労働者が日常的なタスクに取り組むために、自動化やAIを活用したツールの活用を進めていることを浮き彫りにしている。
UiPathは、こうしたAIを積極的に活用する人々を「自動化世代(Automation Generation)」と名付けた。自動化世代は特定の年齢や人口統計学的な特性を持つわけではなく、AIを活用してより協力的、創造的、生産的になろうとするプロフェッショナルたちを指す。彼らはこれらの技術を活用して仕事や個人生活を豊かにし、自分たちがロボットのように感じることを防ぎたいと考えているとのことだ。
自動化世代は、AIと自動化がもたらす利点を理解し、それを活用することで仕事の効率性と満足度を高めようとしている。彼らは、これらの技術が自分たちの仕事をより有意義で、より満足度の高いものに変えることを期待している点で、AIに対して好意的な姿勢を示している。
AIと自動化がもたらす影響:生産性と満足度の向上
報告書によると、AIと自動化は働き手の生産性や満足度に大きな影響を与えているという。例えば、全体の58%の回答者がAIによる単純作業の自動化が燃え尽き症候群を解消し、仕事の満足度を向上させると信じているとのことだ。また、回答者の44%が、ワークライフバランスを向上させるために、職場の自動化にもっと貢献したいと回答している。
AIと自動化は、働き手が日々の仕事で経験する問題を解決する手段としても見られている。調査によれば、労働者はAIによる自動化ツールの助けを借りて、仕事の柔軟性を増やし、新しいスキルを学ぶ時間を増やし、重要なタスクに集中する時間を増やすことを望んでいるようだ。
AIと自動化の受け入れ度:年齢層による違い
年齢層によるAIと自動化の受け入れ度には差がある。調査結果によれば、Z世代、ミレニアル世代、X世代の回答者の半数以上が自動化が仕事のパフォーマンス向上に役立つと考えているが、それ以上の年代の世代では、回答者の44%しか同様に感じていないようだ。
ただし、全体の57%の回答者は、自動化を活用する企業をより好意的に見ていると述べている。これは、AIと自動化が働き手の満足度や生産性を向上させ、日々の仕事から退屈なタスクを取り除く能力を持つためと考えるからだ。
AIと自動化の活用事例:働き手と企業の双方に利益
報告書では、AIと自動化がどのように働き手の生活を改善し、企業の業績を向上させるのか、具体的な事例も紹介されている。例えば、XeroxはUiPathのDocument Understandingを活用して手動でのデータ入力を最小限にし、従業員がより充実したタスクに集中できるようにした。また、OricaはUiPathのTest Suite Solutionを活用してアプリケーションテストプロセスの効率を向上させ、品質保証チームが既存のワークフローに影響を与えることなく問題を特定し解決できるようにしたという。
これらの事例は、AIと自動化が働き手の仕事の質を向上させ、企業の業績を向上させる可能性を示している。AIと自動化は、働き手がより有意義な仕事に集中できるようにするだけでなく、企業がより効率的に運営し、より高い生産性を達成するのにも役立つ可能性がある。
AIと自動化がもたらす新たな働き方の時代
調査を行ったのが、AIによる自動化を推し進める企業であるUiPathが行ったという点から、多少のバイアスもあるだろうが、実際にAIと自動化が働き方を大きく変えつつあり、新たな働き手の世代である「自動化世代」が台頭していることは、昨今の情勢を見ても明らかだろう。自動化世代はAIと自動化を活用して生産性を向上させ、創造的な仕事に集中し、新しいスキルを学び、キャリアを発展させることを望んでいる。企業は、この新世代の働き手が求める技術を提供することで、働き手の満足度を向上させ、生産性を高め、ビジネスの革新とパフォーマンスを新たなレベルに引き上げることが出来る。
しかし、この変化を実現するためには、企業がAIと自動化を理解し、それらを適切に活用する必要がある。また、働き手にとって有意義で満足度の高い仕事を提供するために、企業は働き手のニーズと期待を理解し、それに応える能力も必要だ。
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