ブラックホールの衝突を利用して、宇宙膨張速度を測定する方法が考案された

masapoco
投稿日 2022年8月18日 12:10
oinmaru concept art A black hole warping space time. 9d9e11eb 6017 4a8c 9e51 e6e9c7378d91

ブラックホールは、宇宙で最も謎に包まれた天体だ。大質量の星がその寿命を終えて、信じられないほど密度の高い時空の領域に崩壊した残骸である。その重力は非常に強く、光さえもその表面から逃れることはできない。そのため、ブラックホール自体はこれまで物理学者にとって大きな情報源とはみなされてこなかった。

今回、シカゴ大学の2人の宇宙物理学者は、衝突するブラックホールのペアを用いて、宇宙の膨張速度を測定する方法を考案した。このデータから、宇宙がどのように進化し、何からできていて、どこへ行こうとしているのかを推論する予定とのことだ。

シカゴ大学の天文学者は、宇宙の膨張速度を測定するために、衝突するブラックホールのペアを使用する方法について、新しい方法を提案した。この新しい方法は、「スペクトルサイレン」と呼ばれ、宇宙の初期の時代について教えてくれるかもしれないと、科学者は考えている。

宇宙が膨張していることは1世紀近く前から知られていたが、宇宙がどのくらいの速度で膨張しているのか、ハッブル定数と呼ばれる数値は解明されてこなかった。今回の研究では、ブラックホール衝突の宇宙的な反響を拾う特殊な検出器を用いて、この計算を行う方法を提供するという。

2つのブラックホールが互いに衝突すると、文字通り時空にさざ波を立てて宇宙を横断するほど強力な事象が発生する。そして衝突のたびに出る信号には、そのブラックホールがどれくらいの大きさなのかという情報が含まれている。地球上では、アメリカのレーザー干渉計重力波観測所(LIGO)とイタリアの観測所「Virgo」が、この波紋を拾って天文学者が分析することができる。

この信号は、宇宙を旅している間に宇宙が膨張することで、信号の性質が変わってしまう。その信号がどのように変化したかを測定する方法があれば、宇宙の膨張率を計算することができる。では、元の信号がどのくらい変化したかをどうやって知ることができるのだろうか。

シカゴ大学の天文学者ダニエル・ホルツとホセ・マリア・エスキアガは、この新しい論文の中で、ブラックホール全体に関する新発見の知識を校正ツールとして使えることを提案している。

共著者でシカゴ大学の天体物理学者であるJose María Ezquiaga氏は、「そこで我々は、近くのブラックホールの質量を測定し、その特徴を理解し、さらに遠くを見て、それらの遠いブラックホールがどれだけシフトしているように見えるかを見るのです。そして、これは、宇宙の膨張の尺度を与えてくれます。」と、声明で述べている。

ハッブル定数を計算するために使用される他の方法が、多くの複雑な物理学と天体物理学を含む、星や銀河の物理学の現在の理解に依存しているのに対し、この新しいスペクトルサイレン法は、アインシュタインの確立された重力モデルである一般相対性理論にほとんど依存せず、内蔵の校正ツールとして局所ブラックホールを使用している。この校正は、衝突するブラックホールから得られる重力波のデータが増えれば増えるほど、改善されるだろう。

Daniel Holz氏は、「ブラックホール全体を使うことで、この方法は自分自身を校正することができ、直接的にエラーを特定し、修正することができます」と声明の中で述べている。



この記事が面白かったら是非シェアをお願いします!


  • windows 11 preview
    次の記事

    Windows 11 Insider Preview Build 25182がDevチャネル向けにリリース

    2022年8月18日 13:09
  • 前の記事

    これまでの潜水艦のイメージを覆すまるで宇宙船のような潜水艦「Kronos」が登場

    2022年8月18日 11:30
    kronos submarine

スポンサーリンク


この記事を書いた人
masapoco

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

おすすめ記事

  • Image SN 2023ixf Zimmerman

    超新星による爆発をほぼリアルタイムで観察することに成功した

  • log 2048

    銀河系巨大ブラックホール周辺の磁場が新たな視点で明らかに

  • Euclid looking into the Universe

    ユークリッド宇宙望遠鏡の除氷が成功し、視界が回復した

  • Low Res A massive and ancient galaxy

    ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、史上最遠の銀河合体を観測

  • Euclid looking into the Universe

    氷がユークリッドの光学系を覆い始めた

今読まれている記事