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量子コンピュータを使ってブラックホールをシミュレートする事に成功

著名な物理学者スティーヴン・ホーキング(英: Stephen William Hawking)博士が提唱した理論であるホーキング放射(英:Hawking radiation)を、量子コンピューター技術を使って検証することに、中国の複数の研究チームが共同で成功したとSouth China Morning Post紙が報じた。

量子コンピューティングは、数学、コンピューター科学、物理学を駆使して複雑な問題を解決する複雑な分野である。インタレスト・エンジニアリング誌は最近、量子コンピューターが複雑な計算で従来のスーパーコンピューターを打ち負かしたと報じた。

ビットを使って計算を処理する従来のコンピューターとは異なり、量子コンピューターは量子ビット(一般に量子ビットと呼ばれる)を使って情報を処理する。量子ビットは、従来のビットが持つ0と1の二重の状態以外にも存在することができるため、飛躍的に多くの計算を行うことができる。

ホーキング放射とは何か?

これまでの物理学の領域でわかっていることは、ブラックホールの重力は非常に強く、光さえも逃げられないということだ。粒子がブラックホールの事象の地平線を横切ると、そこから逃れることはできない。

しかし、著名な物理学者Hawking博士によれば、量子レベルでは、ブラックホール内の粒子は徐々に脱出できるという。1974年に提唱されたこの理論では、ブラックホールは事象の地平線のすぐ外側から波動や粒子の形でエネルギーを漏らしているとされている。これはホーキング放射と呼ばれ、ブラックホールがすべてのエネルギーを失い、最終的に蒸発する原因となる。

長年にわたり、研究者たちはこの理論を検証するために、浅水波、光メタマテリアル、光、ボーズ-アインシュタイン凝縮(物質とその構成粒子が最も低いエネルギーレベルにある状態)などさまざまなアプローチを試みてきた。

量子コンピューター研究の進歩に伴い、中国の各組織の科学者たちは、Hawking博士の予測を量子レベルで検証するために集まった。

量子レベルでブラックホールを作る

中国科学院、天津大学、北京量子情報科学院の研究者からなるチームは、10個の量子ビットの連鎖からなるスーパーコンピューターを開発した。相互作用する結合は、9つの調整可能なカプラによって制御された。

このチームは、日本の理化学研究所(理研)先駆的研究クラスターの研究者たちの協力も得て、超伝導チップを使ってブラックホールの量子効果をシミュレートする道筋を提供した。

実験の結果、準粒子が事象の地平線から放射される可能性があることが確認され、Hawking博士の理論が真実であることが証明された。研究チームはまた、水平線の外側にあるすべての量子ビットを測定することで、ホーキング放射のシミュレーションが検証されたことも確認した。

研究チームは、今月初めに『Nature Communication』誌に発表した研究論文の中で、「われわれの成果は、調整可能なカプラを備えたプログラム可能な超伝導プロセッサを用いてブラックホールの関連する特徴を探求することに、より多くの関心を呼び起こすだろう」と述べている。

量子コンピューターは急速に進歩しており、中国の研究者たちは、自分たちの量子コンピューターは現在のアメリカのスーパーコンピューターの1億8000万倍速いとさえ主張している


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masapoco

TEXAL管理人。中学生の時にWindows95を使っていたくらいの年齢。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題が得意だが、テクノロジー関係の話題も大好き。最近は半導体関連に特に興味あり。アニメ・ゲーム・文学も好き。最近の推しは、アニメ『サマータイムレンダ』

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