OpenAIの創設者兼CEOのSam Altman氏は、ワシントンDCで行われた、米国上院の公聴会で、生成AIの台頭と様々な産業への影響について講演した。Altman氏はこの席で、自社のChatGPTのようなこうしたAIシステムは、政府によるライセンス規制が必要であると語っている。
Altman氏は、「米国政府は、重要な閾値以上の能力を持つAIモデルの開発とリリースについて、ライセンスまたは登録要件の組み合わせを、これらの要件に完全に準拠するインセンティブとともに検討すべきである」と、述べた。
同氏は、政府が企業に責任を負わせることができるよう、ライセンスの授受を行う権限を持つ政府機関を望んでいると説明した。4月、OpenAIの研究科学者が最初に規制機関の設立を提案したものだ。
とはいえ、これは自分自身の首を絞めるだけではない。既に大きな市場シェアを持つ企業が、競合他社の参入障壁を高めるだけの“規制”をあえて提案したとも取れる。
規制機関を設立するというAltman氏の構想は、現状、今後避けられないと予測される規制が行われる事を先取りし、政府に最初に協力する企業であるという競合他社に対する優位性を確立したいと考えるOpenAIの姿を表すものだ。だが、これに関して多くのAI研究者は、これは反競争的な動きだと考えている。ライセンスを義務付けることは、大企業にとっては有益だが、中小企業や研究者、フリーでオープンソースの代替品にとっては有害になるからだ。
政府による規制が行われるという字面だけを捉えれば、AIの暴走への懸念がいくらかは和らぐようにも思われるが、重要なのはそうした規制に関する法律の起草に関し、OpenAIやMicrosoft、そしてGoogleなどの有力で資金力のある大企業が関わる可能性があり、彼らが自分たちの有利になるように事を運び、新興の競合企業の参入を阻むためにこれを利用する可能性もあると言うことだ。
大企業は、自分たちが負っても良いとする責任は負うが、そうではない責任はなるべく負わなくて済むような、法律を起草し、“規制を逆手に取る”可能性もある。
また、米国政府が管理する「AIライセンス」というアイデアを施行することが可能かどうかという疑問もある。AIは、米国に拠点を置く企業だけでなく、世界中の開発者によって開発されており、その多くはフリー&オープンソースの共同プロジェクトに取り組んでいるからだ。
公聴会の結論として、Altman氏は米国政府が採用すべきと考える3点のプランを示した。それは、AIモデルをライセンスできる新しい政府機関の設立、AIモデルの安全基準の作成、AIモデルの性能を測定するための専門家による独立監査の義務化である。このプランは、著作権規制や、AIモデルの訓練に使用するデータセットの透明性を高めることに関して、公聴会で上院議員が抱いた多くの疑問を解消するものだった。
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