英国・オックスフォードのTokamak Energy社は、2030年代に登場する5万世帯分の電力を供給できる新しい商用核融合発電所のコンセプト画像を公開した。
Tokamak Energyは、安全かつクリーンな電力を送電網に供給する能力を実証することを目的としており、ST-E1核融合パイロットプラントは、500メガワットの商用プラントを世界中に展開するための道を開く可能性がある。
核融合は核分裂とは異なり、重い原子の分裂ではなく、軽い原子の結合を伴うもので、どの時点でも簡単に停止でき、長期の核廃棄物を発生させないという特徴がある、夢のエネルギーと言われている。
核融合燃料1kgで、約1,000万kgの石炭を燃やしたのと同じエネルギーを放出することができるのだ。
核融合発電所は、従来のタービンと組み合わせて、金属加工から淡水化、水素製造まで、産業で使用する電気と熱を生産することが出来る。また、発電所は小さな面積で済むため、人口の多い地域の近くに建設することも可能だ。
Tokamak EnergyのマネージングディレクターであるWarrick Matthews氏は、「自然エネルギーは素晴らしいもので、絶対に必要なものです。しかし、私たちは、太陽が照っていないときや風が吹いていないときでも、高い貯蔵コストをかけずに、24時間いつでもスイッチを入れることができる、信頼性の高い電力も必要としています。核融合は、持続可能なネットゼロの未来の一部として、その重要なギャップを埋めるものです」と、核融合発電実用の意義と語る。
Tokamak Energyの社名は、プラズマをトーラスやドーナツ状に閉じ込める装置である、「トカマク型」からきている。同社のコンパクトな球形トカマクは、見た目はドーナツよりもリンゴの芯に近く、核融合へのさまざまなアプローチの1つである。
Tokamak Energyは、この独自のトカマク型リアクターの開発に何年も費やしてきた。2021年、同社は独自の球形設計を持つST40を用いて、核融合しきい値プラズマ温度1億度C(1億8000万度F)を達成し、その効率性と拡張性を強調した。次に、その後継機であるST80-HTSを2026年に英国原子力庁のカルハムキャンパスで建設し、2030年代前半にST-E1を完成させる予定だ。
Matthews氏は、「私たちの球形トカマクデザインは、従来の形状よりも効率的で、設備投資や運用コストが低く、設置面積も小さくなります。現在利用可能な技術やイノベーションでは明らかに不十分なので、世界的に展開可能なソリューションでなければなりません」と、述べている。
核融合発電所は、安全で排ガスも出ないため、人口が多い場所や産業の中心地など、電力や熱を必要とする場所の近くに建設することが可能だという。それが、今回のコンセプト画像にも表現されている。
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