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Porscheが革新的な「夜を昼に変える」ヘッドライトを発表、2023年から導入へ

Porscheは、2023年に導入予定の新しいHDマトリックスLEDヘッドライト技術を公開した。同社はこれによって、「グレアのない」ハイビーム照明性能の新しい基準を打ち立てるとのことだ。

このテクノロジーの核となるのは、超小型のマイクロLEDだ。Porscheの研究開発・テクノロジーコミュニケーションのスポークスマン、Hermann-Josef Stappen氏は、プレスリリースにて、「パートナーとのコラボレーションによって生まれたイノベーションの中心となるのは、親指の爪ほどの面積に、個別に制御可能な16,000以上のマイクロLEDを集積したチップです。このLEDチップのうち、1つのヘッドライトに2個、つまり1台あたり4個が利用されています。したがって、HDマトリックス技術を採用したヘッドライトは、これまでの一流システムと比べて4倍の面積に、最大で2倍の明るさの高解像度配光を実現します。」と説明する。

その結果、極めて均質な照明と高性能なハイビームを実現し、最大600m離れた場所でも夜を昼のような明るさに変えることができるようになっている。また、この新しいヘッドライトは、消費電力が大幅に低減していることも特徴だ。

Porscheによると、HDマトリックスヘッドライトは、その時々に必要なピクセルだけを作動させるため、他の高解像度システムよりも消費電力が大幅に少なく、光量は変わらないとのことだ。

さらに、対向車を検出すると、補助ハイビームが解除され、HDマトリックスモジュールの対応するピクセルをオフにすることで対向車のみに光を当てないようにも出来ると言う。

これによって、他のドライバーにまぶしい思いをさせることなく、ハイビームの照射を最適化し、ドライバーの視認性を向上させる事が可能になるという。

さらに、ロービームとハイビームの両方で新システムを使用すると、Porscheの特徴であるデイタイムランニングライトの4点グラフィックが、夜間でも見えるようになるという。Porscheは、この革新的なテクノロジーを実現するために25以上の特許を申請している。

この新しいHDマトリックスヘッドライトは、同じモジュール技術でデザインを変更したモデルラインを順次導入する予定とのことだ。

「新しいテクノロジーは、異なる、時には相反する要求をひとつのシステムに統合しなければなりません」とStappen氏は指摘している。

そのため、Porscheは設計前のシミュレーションを利用して、どのシステム設計が顧客の要求を含むすべての要求を最もよく満たすかを分析した。その結果、技術的に可能な最大解像度ではなく、モジュールあたり16,384ピクセルの新しい効率的なHDマトリックスLED技術を選択することになったという。

「ヘッドライト1個あたり合計32,768個の個別に制御可能なピクセルで、HDマトリックスモジュールは高解像度の光を直接発生させます。実際に必要とされる光だけが生成されるのです。これが、アクティブマトリクス光生成と呼ばれる理由です」とStappen氏は説明する。

その結果、水平40度、垂直10度の範囲全体を1,400ルーメンを超える光束で照らすHDマトリックスライトが完成した。これにより、ハイビームの全領域をカバーし、さらに車両のすぐ前すらも明るく照らし出す、最大かつ最も明るい高解像度照明の1つを作り出す事が出来たのだ。

ドライバーは配光をコントロールし、どんな状況でも最高の視界を確保できるように調整する。これは、Porscheが投資している多くのイノベーションのひとつに過ぎない。


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masapoco

TEXAL管理人。中学生の時にWindows95を使っていたくらいの年齢。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題が得意だが、テクノロジー関係の話題も大好き。最近は半導体関連に特に興味あり。アニメ・ゲーム・文学も好き。最近の推しは、アニメ『サマータイムレンダ』

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