今年の7月、サウジアラビアで“全長170km、高さ500m”という、空前絶後の都市計画が進められていることをお伝えした。正直これはコンセプトに過ぎず、実際に建設が行われるとは筆者は思っていなかったのだが、どうやらサウジアラビアは本気らしい。今回、新たにドローンによって、建設が進められている様子が公開されたのだ。
映像には、人里離れた場所に広い溝を作り、その中にこの都市の基礎を築く多数のショベルカーが映っている。完成すれば全長170kmのプロジェクトとなるが、都市内部には高速移動網が整備され、市民は20分以内に街の端から端まで移動することができるという。
サウジアラビアの「The Line(ザ・ライン)」とは一体何か?
この巨大都市は、サウジアラビアの皇太子兼首相であるムハンマド・ビン・サルマン氏が2021年1月に発表した野心作である。だが、詳細が明かされたのは最近になってだ。東京タワーよりも高いミラー型超高層ビルを建設し、砂漠、山、海岸などさまざまな地形を貫くという都市の詳細は下記の記事をご覧頂ければと思う。
このThe Lineは、更に大きな計画である「NEOM(ネオム)」プロジェクトの一部である。NEOMでは、砂漠でウィンタースポーツを楽しむための街作りを進めるなど、サウジアラビアを一大観光都市にするべく、様々な野心的な計画が進められている。
車を動かすためにインフラを整備する現代の都市とは異なり、The Lineは人間中心で設計されており、必要な施設はすべて徒歩圏内にあることが予想されるため、自家用車がいらないという。
だが、これほどの巨大建築物ともなれば、もちろん様々なハードルも伴う。例えば、超高層ビルの居住者が利用できる地下水の確保や、今後数年間で大きく変化する技術などの将来的な要因だ。
また、The Wall Street Journal紙によると、不毛地帯であった地域の部族は、現在、避難を余儀なくされているという。さらに、今週初めには、ある部族の3人が建設現場からの立ち退きに反対したために処刑されたと、DeZeenは報じている。(日本では考えられないことだ)
この都市は完成すると900万人が住むと予想されており、住民を養うために共有の台所や食堂が必要になる。また、高層ビルに計画されている垂直農園では、農業プロセスを処理するための自律的なシステムが必要となり、都市が建設されるにつれて、これらすべてが適切に機能する必要がある。
このプロジェクトは50年で完成すると言われているが、ムハンマド皇子は10年後までに完成させたいと考えているようだ。
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