ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の科学者チームは、これまで同宇宙望遠鏡が撮影した最大の画像を公開した。この画像は、望遠鏡の近赤外線カメラ (NIRCam) で撮影された 690 個のフレームをモザイクしたもので、7月12日に公開された JWST の最初のディープフィールド画像の約 8 倍の面積を占めており、これまで見たことのないものもたくさんある。さらに、これまで観測された中で最も遠い銀河の一つを撮影している可能性もある
THE COSMIC EVOLUTION EARLY RELEASE SCIENCE SURVEY(CEERS)共同研究の科学者たちは、このモザイクは北斗七星の柄の近くの空のパッチからであると述べている。この画像はCEERSチームの最初の観測の一部として撮影された。CEERSチームは、JWSTが他の観測を行っている間でも、銀河系外の調査を行うために効率的に使用できることを実証するために活動している。
チームのメンバーである天体物理学者の Rebecca Larson氏は、Twitterで「これは我々の観測のエポック1にすぎません。まだ全調査の半分も終わっていないのに、すでに我々のデータは新しい発見と、予期せぬ、しかし歓迎されないほど豊富な見たこともない銀河に繋がっています」と、述べている。
CEERSのウェブサイトに掲載されたブログ記事で、Larson氏は「高解像度の画像を開いて、拡大して見てください!」と呼びかけている。ただし、高解像度の画像(別のウィンドウで開く:255MBもあるので注意!)は非常に大きく、スマートフォンなどの小さな画面では見ることができないので注意が必要だ。
「これまでに捉えた銀河の数の多さには畏敬の念を覚えます!」とLarson氏は述べている。
また、赤方偏移1.4には「宇宙のクラーケン」と呼ばれる銀河の相互作用系があり、赤方偏移0.7には二つの相互作用する渦巻き銀河が見られる。下の画像は、これらの銀河と、JWST の画像で発見された最初の超新星と思われるものを指す矢印で示したユニークなものだ。
この銀河は、JWST が遠方にある銀河の小さな特徴もとらえることができることを示すものであり、また潮汐尾を持つ銀河と赤い銀河の集団が偶然にも一直線に並んでいる様子を示している。
CEERS Collaboration の科学者たちは、これまで観測された中で最も古い銀河のひとつである可能性のある天体を特定し、プロジェクト代表のSteven Finkelsteinの娘にちなんで「メイジー銀河」と名づけた。この発見は確認待ちの状態だが、チームはこの発見に関する論文を発表している。このような赤方偏移の銀河はこれまで見たことがなく、JWST が先に撮像した SMACS 0723 よりもさらに古い銀河であることが予想される。JWSTが写し出したのは、ビッグバンから3億年後の銀河だと天文学者は考えている。しかし、もしメイジーの銀河が確認されれば、ビッグバンからわずか2億9000万年以内に形成された可能性がある。この時期は「宇宙の再電離」と呼ばれる時期で、水素が電離することで最初の星が誕生し、宇宙で最初の光が輝き始めた時期となる。
この記事は、Universe Todayに掲載されたものを、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)に則り、翻訳・転載したものです。元記事はこちらからお読み頂けます。
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