Googleが独占禁止法訴訟を逃れるために米国司法省に譲歩案を提出との報道

masapoco
投稿日
2022年7月11日 13:59
google building

Googleは、そのインターネット広告業界における圧倒的独占的地位について、米国司法省から独占禁止法で訴えられる危機にさらされているが、Googleは当局への「譲歩」として、広告事業の一部を分割し、Googleの親会社であるAlphabetに移管することを提案しているという。

WSJの報道によると、「ある提案の一環として、Googleはウェブサイトやアプリに広告をオークションして掲載する事業の一部を、Alphabet傘下の別会社に分割することを提案していると、一部の関係者は述べている。その事業体は、どのような資産を含むかによって、数百億ドルの評価となる可能性がある。」とのことだ。

広告部門を「分割」する目的は、必ずしも広告部門全体をGoogleから切り離すことではなく、広告ビジネスにおけるGoogleのエンドツーエンドのオーナーシップを弱めるためとのことだ。

米国司法省が問題視しているのは、GoogleがWeb広告の「購入と販売とを両方の側面で抑えている」ことだ。

Googleに掲載するWeb広告を購入したい場合は、Googleのオークションシステムで広告スペースを販売するパブリッシャーに自然に誘導されるため、広告の価格に関する全ての要素をGoogleが恣意的に決めることができ、Googleが自社サイトを優先することも容易に出来てしまう点が問題とされている。

ほとんどのオンラインシステムが似たような仕組みになっている。例えば、AmazonにはAmazonの商品の売り手がAmazonの商品の買い手に売るというインターフェイスがあり、Uberにはドライバーとライダーのシステムがあるが、Googleの場合は規模とシェアが桁違いである事が問題となるのだ。

ここで提案されている解決策は、Google Adsの「売る」側がAlphabetに移り、「買う」側がGoogleに残るというものだ。おそらく、この動きによって、GoogleがGoogle以外の広告システムを選択する機会が生まれるということだろうが、Google/Alphabetにその使用を強制されるかどうかは不透明だ。

この報道を受け、Googleの広報担当者はThe Wall Street Journalに対し、「我々は規制当局の懸念に対応するため、建設的に関与してきた。以前から言っているように、この事業を売却したり撤退したりする計画はない 」と述べている。同スポークスマンは、「広告技術における厳しい競争は、オンライン広告の関連性を高め、料金を下げ、出版社や広告主の選択肢を広げてきました。」と付け加えている。

実際の所、GoogleがAlphabetと言う親会社に広告事業の一部を移管することによってどの程度の変化が起こるのかは不透明だ。

ただ、一部の人によっては、Googleが広告事業を分割という報道をセンセーショナルな事件として受け取るかも知れないが、この記事をご覧のほとんどの方にとっては、“ Google ”と “ Alphabet ”に果たして違いがあるのだろうかと感じている事だろう。

もしGoogleの思惑通りにことが運んだ場合、広告の責任者はGoogleのCEOであるSundar Pichai氏への報告をやめ、AlphabetのCEOであるSundar Pichai氏への報告を行う形となるが、司令塔も変わらないそこに果たしてそこにどんな違いがあるのだろうか。更に言うと、GoogleとAlphabetはCFOも同じで、ティッカーシンボルも同じであり、Googleの広告収入がなければ、GoogleやAlphabetの会社はビジネスを行う事すらままならないのだ。

Googleは、広告事業について「売却または撤退する計画はない」と述べている。

Googleは、「規制当局の懸念を解消するために取り組んでいる」というが、Googleがどれだけ広告事業を手放したくないかが今回の提案からも分かるのではないだろうか。



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