D-Waveが次世代アニーリング型量子コンピュータのプロトタイプを発表

アニーリング型量子コンピュータは、東工大の西森教授が1998年に理論を提唱し、カナダのD-Wave社が2010年ごろ世界で初めて実装し、一躍「D-Wave」の名を世界に知らしめた。同社はその後も研究を続けていたが、6月16日(現地時間)次世代アニーリング量子コンピュータ「Advantage2」の最初のプロトタイプをクラウド上で公開した。

量子コンピュータは、ゲート型とアニーリング型の2つに大別される。ゲート型は、現在の計算機の処理単位である“ビット”を“量子ビット”で置き換えた計算機だ。実用化までには様々な課題があり、実用化されるとしても数十年先と言われている。

対してアニーリング型は、金属の焼きなまし処理とよく似た処理を量子を使って行う、いわば自然の法則を活用して最小エネルギー状態を探索する量子コンピュータとなる。量子アニーリングでは最適な組み合わせを探す「試行」の回数を、量子重ね合わせの原理によって圧倒的に増やせるので、組み合わせ最適化問題に適しているといわれている。こちらは、ゲート型と比べて実用化が見える段階まできており、世界中の研究機関や企業が開発にしのぎを削っている。(とはいえ、アニーリング型量子コンピュータは、研究者の間では「量子コンピュータではなく、量子アニーリングシステムに過ぎない」と言った意見もある)

D-Waveは、最近超伝導ゲートモデル量子コンピュータも構築する取り組みを発表したが、これまで通りアニーリング型にも力を入れているようだ。

今回同社が発表した次世代アニーリング型量子コンピュータ「Advantage2」は、2024年までに発売される7,000量子ビットのフルシステムではなく、同社の新しい量子ビット設計と20ウェイ量子ビットとの相互接続を持つZephyrトポロジーを紹介するための500量子ビット以上の小型バージョンである。

D Wave Adv2 Prototype Animated
D-Wave Advantage2™のアニーリング量子コンピュータのプロトタイプに搭載された、20ウェイ量子ビット間接続を持つ新しいZephyrトポロジーのレンダリング画像。(出典:D-Wave Systems Inc.)

D-Waveの量子アニーリング製品担当ディレクターであるEmile Hoskinson氏は、「Advantage2プロトタイプは、Advantage2システムの完成に向け、我々が学んでいることを共有し、コミュニティからフィードバックを得るために設計されています」と述べている。「現在のAdvantage量子コンピュータは、ゼロから完全に再設計されたものです。Advantage2 では、接続性とノイズの低減を実現することで、完全なシステムとして提供される際に、より高い性能を発揮することができることを実証しています。Advantage2 のプロトタイプは、私たちの興奮を伝えると同時に、量子コンピュータをアプリケーションに導入するお客様の未来を垣間見る機会でもあります」。

Zephyrトポロジーを用いると、すべての量子ビットが他の20個の量子ビットに接続されることになり、前身のペガサス・ファミリー(現在の5000量子ビットのアドバンテージシステムが使用している)の15個から増加する。

zephyr couplers colored
代表的な1つの量子ビット(黒い点)が、16個の内部カプラ(緑の線)で直交する量子ビットに、2個の外部カプラ(青の線)と2個の奇数カプラ(赤の線)で同様に整列した量子ビットに接続されているゼファートポロジの切り出し図です。(出典:D-Wave Systems Inc.)

D-Waveによると、この新しいAdvantage2プロトタイプを公開することで、開発者はフルスケールのモデルの中核となる機能をすべてテストし始めることができるとのことだ。また、同社によれば、初期のベンチマークでは、Advantage2システムの特徴は、コヒーレンスの向上と量子ビットのノイズの低減であるという。

この新しいプロトタイプは、D-Waveの量子クラウドサービス「Leap」で利用可能となる。このサービスでは、オリジナルのAdvantageシステム、および新しい制約付き二次モデルソルバーを含むD-Waveの量子ハイブリッドソルバーも利用できる





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この記事を書いた人

TEXAL管理人。学校の授業でMS-DOSを使っていたくらいの年代。Windows95の登場で衝撃を受け、テクノロジー業界に興味を持つ。以来ガジェット・ゲーム情報を追い続けてうん十年。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題も大好き。

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