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巨大な「バブルトロン」がビッグバンの直後に宇宙の力を形成していたことが新たな研究で示唆される

形成されたばかりの宇宙は混沌とした場所であり、最も極端な大変動が起こりうる場所でもあった。

この初期の時期に、新しい形の超エネルギー的な巨大気泡が形成され、高速で互いに衝突していた可能性がある。研究者たちは最近の研究で、これらの巨大な気泡に「バブルトロン(Bubbletrons)」という名称を与えた。

これらの巨大な気泡の揮発性相互作用は、現代の粒子加速器が発生させるエネルギーをも上回る莫大なエネルギーを生み出していた可能性がある。

Live Science誌によれば、バブルトロンのエネルギーが、宇宙初期のとらえどころのない暗黒物質粒子や微小なブラックホールの発生に拍車をかけた可能性があるという。

この巨大な泡はどのようにして生まれたのか?

電磁気力、強い核力、弱い核力、そして重力という、4つの基本的な自然力が宇宙のすべてを支配している。

これらの力は、バスケットボールをすることから冷蔵庫に磁石を貼ることまで、私たちが気づくか気づかないかにかかわらず、私たちの日々の活動さえも形作っている。

物理学者たちは長い間、極めて高エネルギーな環境では、これらの力が宇宙の単一の大きな力(統一力)として機能していただろうという仮説を立ててきた。

著者らによれば、これら4つの力の統合は、宇宙が途方もないエネルギーで満たされていたビッグバンの直後、あるいは数秒後に起こった可能性があるという。

しかし、初期の宇宙が冷えて膨張するにつれて、統一された力は一連の相転移の中で徐々に分離し始めたのかもしれない。

巨大な気泡は、こうした相転移の間に形成されたのかもしれない。

論文によると、これらの気泡の中の力は完全に分離していたが、気泡の外では凝集力を維持していたという。やがて、これらの気泡は高速で膨張・衝突し、その結果、初期宇宙は大きく変容した。

新しい研究では、バブルトロンの衝突と膨張によって重力波が発生したであろうことも示されている。

この研究はまた、初期宇宙に関する我々の現在の理解は、広大な氷山の一角に過ぎず、隠された数多くのメカニズムが発見されるのを待っていることを示唆している。

科学者たちは、LISAやアインシュタイン望遠鏡のような今後開発される最先端の検出器によって、バブルトロンの直接的な証拠を集めることができるだろうと期待している。これらの技術から得られる新鮮な洞察は、仮説上の暗黒物質や宇宙の初期についての理解を広げてくれるかもしれない。


論文

参考文献

研究の要旨

相対論的なバブル壁を持つ宇宙論的一次相転移(PT)では、一般に粒子の高エネルギー殻が壁の内側と外側に形成される。異なるバブルからのシェルは、PTスケールやインフレーションスケールよりもはるかに大きなエネルギーで、しかも大きな速度で衝突し、「バブルトロン」を実現する。その応用として,U(1)ゲージのPTにおける殻衝突から生成される暗黒物質の最大質量MDMを,PTのスケールvφがMeVから1016GeVの場合について計算する。例えば,vφ∼10-2/103/108GeVではMDM∼106/1011/1015GeVである。PTで発生する重力波信号は、パルサー・タイミング・アレイとPeVスケール、LISAとZeVスケール、アインシュタイン望遠鏡と大統一を結びつける。

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執筆者
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masapoco

TEXAL管理人。中学生の時にWindows95を使っていたくらいの年齢。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題が得意だが、テクノロジー関係の話題も大好き。最近は半導体関連に特に興味あり。アニメ・ゲーム・文学も好き。最近の推しは、アニメ『サマータイムレンダ』

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