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Bingの躍進は短期間で終わりGoogle検索の優位性はまだしばらくは変わらないだろう

ChatGPTの出現によって、Googleは従来の検索ビジネスが覆されるかも知れないという危機感を抱き、社内に“コード・レッド(緊急事態宣言)”を発令し、AIチャットボットBardの開発を急いだ事が記憶に新しいが、当初の予想に反して、Google検索はまだしばらくは盤石な状態が続きそうだ。

市場では、先日ついに3兆ドルの時価総額を突破したAppleに続き、2位のMicrosoftもまもなくこの大台を突破するとの見方が浮上している。AI関連のあらゆるものに対する現在の誇大広告と、同社のあらゆる製品にAIを搭載するという現在の取り組みを考えると、この予言は当たるかもしれない。しかし、検索エンジンの世界では長年遅れをとっているBingは、あまり重要な役割を果たしてはいないようだ。

OpenAIは、そのChatGPTが、テック領域における次の大きな破壊者を待ち望む世界中の聴衆の想像力をかき立て、ここ数ヶ月で一躍脚光を浴びた。Microsoftは、OpenAIとのユニークなパートナーシップ契約を背景に、ChatGPT現象の台頭の最大の受益者として浮上した。Microsoftは2023年1月、OpenAIに数十億ドル規模の追加投資をすることを発表し、OpenAIへの投資総額は130億ドルに達した。Microsoftは、この資金とクラウドコンピューティングサービスAzureへのアクセスを提供する見返りとして、OpenAIが130億ドルの投資全額を回収できるまで、OpenAIの利益の75%を受け取る権利を得た。その後、MicrosoftはOpenAIの利益の49%を920億ドルに達するまで受け取り、その後はMicrosoftの株式はOpenAIの非営利財団に返還される。

一方、MicrosoftはクラウドベースのサービスやOffice製品群にOpenAIのツールキットを積極的に組み込んでいる。決定的なのは、MicrosoftがBing検索エンジンとChatGPTを完全に統合したことだ。

3月、ChatGPTとBingは、相対的なWebトラフィックの指標に基づいてGoogleを凌駕し始めた。しかし、Bernsteinのアナリストの集計によると、BingがGoogleを上回ったのは非常に短期間で、かろうじて6週間続いただけだった。それ以来、BingのトラフィックはChatGPT前のペースに戻り、Googleの検索数は3月初旬の最初の落ち込みの後、ほぼ安定している。

興味深いことに、ChatGPTも勢いを失いつつあり、現在ではGoogleの検索数に収束に向かっているようだ。これは、ChatGPTや他の類似のAIが現時点で提供する性質を反映している。これらのモデルは真の推論能力を持たず、使いこなすにはコツが必要で、万人にとって革命的に便利であると言うにはまだほど遠いのが現状でもある。

Google検索の優位性はまだしばらくは変わらないだろうが、同社はBardの機能拡張だけではなく、検索結果自体へのAI統合も進めており、結局の所AIの進歩が業界での覇者を決めるという点だけは間違いないだろう。

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masapoco

TEXAL管理人。中学生の時にWindows95を使っていたくらいの年齢。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題が得意だが、テクノロジー関係の話題も大好き。最近は半導体関連に特に興味あり。アニメ・ゲーム・文学も好き。最近の推しは、アニメ『サマータイムレンダ』

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