Samsung、最先端の12nm DDR5 16Gb DRAMの量産を開始:最大7200Mbps&23%の効率化を実現

masapoco
投稿日
2023年5月19日 11:26
12nm Class DDR5 DRAM dl2 1

Samsungは、最新の12nm製造プロセスでDDR5 DRAMチップの大量生産を開始したと発表した。この新しい製造ノードにより、SamsungはDRAMデバイスの消費電力を削減し、前世代のノードと比較してコストを大幅に削減することができると述べている。

SamsungのDDR5 DRAM、12nmプロセスノードにより、より効率的で高い転送速度を提供

Samsungの発表によると、16Gbit DDR5メモリチップを業界最先端の12ナノメートル(nm)クラスのプロセス技術を用いて製造するとのことだ。これまでも、同社はすでに16Gbi DDR5チップを生産していたが(K4RAH086VB-BCQKなど)、より新しく小さい12nmプロセスへの切り替えは、消費電力とダイサイズの両方の点でメリットをもたらす物だ。同社の前世代ノード(14nm)で製造されたDDR5ダイと比較すると、新しい12nmダイは最大23%消費電力が低く、Samsungはウェハーあたり20%多くのダイを製造できるとしている。

Samsungは、12nm DRAM製造プロセスの主要な革新は、DRAMセルのキャパシタに新しいhigh-k材料を使用することで、セルの寸法やダイサイズを増やすことなく、性能を向上させるためにセルの静電容量を増やすことが可能になったと述べている。DRAMセルの静電容量が大きくなれば、DRAMセルはより多くのデータを保存でき、電力を消費するリフレッシュサイクルを減らすことができるため、性能を向上させることが出来る。しかし、キャパシタが大きくなると、セルやダイのサイズが大きくなり、その結果、ダイが高価になるのが一般的だ。

DRAMメーカーは、何年も前から高誘電率材料を使用することでこの問題に対処してきたが、メモリメーカーは歩留まりや生産インフラも考慮しなければならないため、新しいノードを作るたびに、これらの材料を見つけるのは難しくなっている。どうやら、Samsungは12nmノードでそのことに成功したようだが、この件に関しては一切公表していない。コンデンサーのようなアナログ部品は、プロセスノードの微細化に伴い、チップのスケールをさらに縮小することができなくなった最初の部品の1つであるため、Samsungがダイサイズの縮小に成功したことは非常に注目に値する。

Samsungは、新しい高誘電率材料の導入に加え、12nm DDR5 ICの動作電圧とノイズを低減しており、新たな製品は、従来品と比較して性能と消費電力のバランスがより良くなっているとしている。

Samsungの12nm DRAM技術に関する注目すべきもう一つの面は、これが極端紫外線(EUV)リソグラフィーを使用する同社のメモリの第3世代生産ノードであるように見えることだ。最初のD1xノードは純粋にコンセプトの証明として設計され、2021年から使用されている後継のD1aは、5層にEUVを使用していた。一方、Samsungの12nmノードがどの程度EUVツールを使用しているかは不明である。

Samsung ElectronicsのDRAMプロダクト&テクノロジー担当エグゼクティブ・バイスプレジデントであるJooyoung Lee氏は、「差別化されたプロセス技術を用い、業界をリードする12nmクラスのDDR5 DRAMは、優れた性能と電力効率を実現しています」と、述べている。

一方、Samsungは、新しい12nm DDR5ダイでより高速なメモリ速度も視野に入れている。同社によると、このダイはDDR5-7200(すなわち7.2Gbps/ピン)の速度で動作することができ、これは現在JEDECの公式仕様が許容する速度をはるかに上回るものであるとのことだ。必要な電圧は明言されていないが、将来のXMP/EXPOメモリキットに何らかの期待が持てるだろう。


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