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光を使ったコンピュータで未来の電子機器を革新

現在最高の性能を誇るコンピュータよりも100万倍高速な家庭用コンピュータが想像できるだろうか?アリゾナ大学の研究者たちは、光を用いた光コンピューティングで、現在の半導体トランジスタを大幅に超える技術を開発しようとしている。

半導体トランジスタは現代のあらゆる電子機器に使用されているが、電子機器の未来は、レーザーライトを用いて電気信号を制御することで、光トランジスタや超高速光学電子機器による、桁違いの性能を誇るコンピュータの開発が可能になるだろう。

半導体トランジスタが発明されて以来、性能の向上は、電気信号の発生速度を上げることによる技術向上が中心だった。現在の最速の半導体トランジスタは、800ギガヘルツ以上の速度で動作する。しかし、光を使ったスイッチング技術は、半導体トランジスタをはるかに凌ぐ速度で情報処理ができることが示されている。

Mohammed Hassan氏らの研究チームは、光信号のオンとオフを切り替えることで、ペタヘルツを超えるデータ転送速度を実現した。これは、最速の半導体トランジスタよりも100万倍高速なデータ転送であることを意味する。

この技術は、光学分野でよく使われるフューズドシリカというガラスの特性を利用している。フューズドシリカは瞬時に反射率を変えることができ、超高速レーザーを使ってアト秒の時間スケールで光信号の変化を検出できるのだ。また、従来は不可能だった速度で光を使ってデータを送信することも実証された。

この新しい技術は、データ転送速度を向上させ、地球から深宇宙への長距離通信に利用することも期待される。これにより、データ処理や情報符号化の速度制限が大幅に向上し、情報技術の新しい領域が開かれることになるのだ。

光を用いたコンピューティング技術は、電子機器の未来を大きく変える可能性を秘めている。超高速なデータ転送や長距離通信が可能になることで、現在の半導体トランジスタを使った電子機器が抱える課題を解決し、さらなる情報技術の進化を促すだろう。アリゾナ大学の研究者たちが開拓する光コンピューティングの未来は、私たちが想像する以上に驚くべきものになるかも知れない。


論文

参考文献

研究の要旨

現代のエレクトロニクスは、ナノ秒単位の高周波電磁界による電気信号のスイッチングによって成り立っており、情報処理はギガヘルツ単位の速度に制限されている。近年、テラヘルツ帯や超高速レーザーパルスを用いた光スイッチにより、電気信号を制御し、ピコ秒や数百フェムト秒の時間スケールでスイッチング速度を向上させることが実証された。ここでは、強光場における石英系誘電体の反射率変調を利用し、アト秒の時間分解能で光スイッチング(ON/OFF)を実証している。さらに、超短レーザーパルスを複雑に合成したフィールドで光スイッチング信号を制御し、データのバイナリ符号化を行う機能を紹介する。この成果は、現在の半導体エレクトロニクスよりも数段高速なペタヘルツ速度の光スイッチや光エレクトロニクスの確立に道を開き、情報技術、光通信、フォトニックプロセッサー技術に新たな領域を切り開くものである。

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masapoco

TEXAL管理人。中学生の時にWindows95を使っていたくらいの年齢。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題が得意だが、テクノロジー関係の話題も大好き。最近は半導体関連に特に興味あり。アニメ・ゲーム・文学も好き。最近の推しは、アニメ『サマータイムレンダ』

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