元Appleのエンジニアによれば、SiriがChatGPTのような高度な機能を備えるには1年かかる

masapoco
投稿日
2023年3月16日 13:51
apple siri

Appleの元従業員がThe New York Times紙に語ったところによると、Appleの音声アシスタントSiriは、OpenAIのChatGPTほど強力なものになる可能性は低いようだ。

2014年にSiriの改良のために雇われ、2016年に同社を去った元AppleエンジニアのJohn Barkey氏は、Siriの設計上の問題が、新機能を追加することを困難にしているという。

Barkey氏によると、Siriはレストランの場所やミュージシャンの名前など、多数の単語を含むデータベースから抽出することで、「天気はどうですか」「この曲を再生できますか」といった簡単な質問に答えることは出来る。だがその結果、Siriは限られた数の問い合わせしか理解することが出来ない。つまり、エンジニアは機能の拡張に際しては、都度、データベースに新しい単語を追加していく必要があるとのことだ。

Barkey氏は、この設計から、Siriのデータベースを「大きな雪だるま」と呼んでいる。同氏によれば、新しいフレーズを追加するには、データベースを完全にオーバーホールする必要があるため、最長で6週間かかるとのことだ。ChatGPTのような検索などの高度な機能を統合するには、1年程度かかるしている。Siriの基本的な機能さえもアップデートすると、古くなった複雑なコードのため、数週間かかる可能性があるという。

Barkey氏のSiriに対する警告は、大人気のAIチャットボットChatGPT(現在は最新言語モデルGPT-4で稼働中)が、その素晴らしい能力で音声アシスタント技術を利用していることから来るものだ。ChatGPTに比べると、Siriは酷く陳腐なものに見える。最近OpenAIに100億ドルを投資したMicrosoftのCEO、Satya Nadella氏は今月、AmazonのSiriやAlexaのような音声アシスタントは「岩のように間抜けだ」とFinancial Timesに語っている

Siriの共同創業者であるAdam Cheyer氏も同意見だ。彼はFT紙に、ChatGPTのエッセイを書いたりコードを開発したりする能力は、既存の音声アシスタントを馬鹿馬鹿しくさせると語った。「これまでの選択肢は面倒くさすぎた」とCheyer氏は語った。

実際に、「Hey, Siri!」や「OK, Google!」と音声アシスタントを呼び出して質問しても、意図した様に理解してくれず、見当外れの答えが返ってくることは、ユーザーなら誰しも経験した事があるだろう。

合わせて、The New York TimesはAppleでは、Siriのチームのメンバーが言語モデルのコンセプトを毎週テストしていると報告しているが、製品は発表されていない。


Source



この記事が面白かったら是非シェアをお願いします!


  • gpt 4 hero
    次の記事

    革命ではなく進化:なぜGPT-4は注目されるが、画期的ではないのか?

    2023年3月16日 14:33
  • 前の記事

    NASA、ISSに「人工心臓チップ」を持ち込み実験

    2023年3月16日 13:14
    jsc2022e083017
この記事を書いた人
masapoco

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


おすすめ記事

  • openai

    OpenAI、15秒の音声サンプルから感情豊かで自然な音声を合成できる「Voice Engine」を発表

  • Apple M3 chip series architecture 231030

    AppleのM3 MaxチップからのUltraFusionインターコネクト削除は新たな巨大チップ登場の前兆か?

  • a04c35e8e555c1cc7ae1d6a5f3159856

    MicrosoftとOpenAI、1000億ドル以上をかけて超人的AI開発のためのスーパーコンピューター「Stargate」を開発する計画

  • magsafe charger

    iOS 17.4のアップデートによりiPhone 12がQi2での高速ワイヤレス充電に対応へ

  • Sam Altman TechCrunch SF 2019 Day 2 Oct 3 cropped cropped

    ベンチャーキャピタリスト、OpenAIのSam Altman氏を“誇大妄想的”と非難

今読まれている記事