いつか地球に余裕がなくなったら、ゴミを宇宙に送らなければならないのだろうか

The Conversation
投稿日
2023年3月12日 5:46
garbage dump

私たちの地球には、たくさんのゴミがある。産業革命以来、人類は高層ビルや橋、衣類やビニール袋など、30兆トンものモノを生み出してきた。その多くは、廃棄物という形で今も私たちの手元にある。

世界では、毎日3億5,000万トンものゴミが人々の手によって捨てられている。さらに悪いことに、世界のゴミの多くは、陸上や水路、都市や町のゴミ捨て場に捨てられるなど、不適切に管理されている。このため、人々は深刻な健康被害にさらされている。植物や土壌に害を及ぼし、多くのゴミが海に流れ込んでいる。私たちは、このような事態を引き起こしていることを考えると、とても気が重くなる。

宇宙にゴミを送る?

宇宙にゴミを送るというのは、それほど突拍子もない話ではないだろう。宇宙にはたくさんのスペースがあり、それを利用しようとする人は、今のところ誰もいないのだから。

廃棄物を宇宙へ送ることを提案する研究者がいる。主に原子力発電所から出る使用済みの放射性燃料棒を考えているようだ。確かに核廃棄物は何万年も危険なままだし、人類はこれまで地球上で安全に処理することを怠ってきた。

しかし、このような提案は、さまざまな理由から、一向に前に進まない。ひとつはリスク。何トンもの高濃度放射性廃棄物を積んだロケットが離陸時に爆発したらどうするのか。もうひとつは、地球上に安全に保管するよりもはるかに高いコストがかかるということだ。

また、壊れた人工衛星や流星の破片など、すでに地球を周回している「宇宙ゴミ」もたくさんある。NASAの推定では、地球軌道上にビー玉大以上の破片が50万個以上あるそうだ。これらは高速で移動するため、衝突すると宇宙船に大きなダメージを与える可能性がある。これ以上、この問題を増やすのは得策ではない。

もっと良い方法がある。埋立地や焼却場、陸上や海洋に捨てられるゴミの量を減らすことだ。使い捨てのビニール袋を許可するかどうかなど、ルールを決める政府にもその一端は委ねられている。しかし、日常生活の中でゴミを減らすために、人々ができることはたくさんあるのだ。

多くのRs

ゴミの3R」(リデュース、リユース、リサイクル)をご存じだろうか。それぞれのステップで、1日の終わりにゴミを減らすことができるのだ。

生活の中でゴミを減らしたいなら、使い捨てのプラスチック製品ではなく、再利用可能なマグカップやカトラリー、スーパーの袋を選ぼう。多くの町や都市がこれをルールにしている。

また、生ゴミや庭木の切り落としなどの有機廃棄物を回収し、コンポスト(庭師や造園業者が肥料として使う土のようなもの)に変えている地域もある。また、家庭でコンポスト作りをする人も少なくない。

中古品や衣類を購入し、不要になったがまだ使えるものを寄付することで、再利用することも出来る。フリーサイクルのネットワークを利用すれば、不要なものを譲り、その見返りとして別の商品を手に入れることが簡単に出来る。

紙、プラスチック、ガラス、アルミニウムをリサイクルすることで、埋立地に廃棄されることがない。また、リサイクルされた材料から新しい製品を作るのに、より少ないエネルギーで済むため、気候変動を遅らせることにも繋がる。2018年、米国の自治体の固形廃棄物の約3分の1がリサイクルまたはコンポスト化された

ビニール袋やストローのように、リサイクルしにくいものもある。しかし、アルミ缶、紙、段ボール、特定の種類のプラスチックは、はるかに高い割合でリサイクルすることが出来る。自分の住んでいる場所で何がリサイクルできるのか、どのようにリサイクルすればいいのかを知ることは重要だ。

行動すべきは3つのRだけではない。物の買い方や使い方を修理したり、再生したり、再構築したりすることができるのだ。

電子機器から自動車まで、消費者が自分で修理できるよう、情報や部品にアクセスできるようにする「修理権」についての議論が高まっている。企業は新しい製品を買ってもらうことを望むが、多くの人々は自分で修理することを容易にするためのルールを求めている。

スペースがなくなる前に、ゴミを減らすための選択肢はたくさんある。一度試してみると、思ったより簡単なことに気づくはずだ。


本記事は、Kate O’Neill氏によって執筆され、The Conversationに掲載された記事「Will we eventually have to send our trash into space if we run out of room on Earth?」について、Creative Commonsのライセンスおよび執筆者の翻訳許諾の下、翻訳・転載しています。



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