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指先で血圧を測れる画期的なデバイスをValencellが発表

血圧計と言えば、上腕に巻いたり、手首に巻いたりして測る物というのが常識だったが、これはわずらわしいだけでなく、時に苦痛を伴う事もあった。また、マジックテープの劣化によって正確に測れないこともあるなど、耐久性の面でも問題があったが、Valencell社の最新型のデバイスは、血圧測定において、これまでにない画期的な物となっている。

Valencell社初の慢性疾患管理ソリューションは、高血圧の患者がより簡単に、定期的に血圧を測定し、治療のコンプライアンスを維持できるようにすることを目的としているという。

同社は、反射光を検出して血流パターンを測定する光電式容積脈波記録法(PPG)を使用して、1分以内に血圧を測定する装置を開発した。

また、これを実現するために、7,000人以上の患者からなるPPGデータセットから開発された独自のAIアルゴリズムも用いられている。AIが、年齢、体重、性別、身長などの身体的特徴とともに処理し、血圧測定値を算出してくれるのだ。拡張期と収縮期の血圧測定結果はデバイスの内蔵スクリーンに表示されるだけでなく、Bluetooth経由でアプリに送信して記録を蓄積することも出来る。

モバイルアプリは、測定値を記録・保存するだけではなく、血圧測定のリマインダーを設定する事も可能だ。また、ユーザーは、健康に対するアドバイスの表示、測定頻度の追跡、データのダウンロードと共有の機能も利用できる。

ちなみに、PPGとアルゴリズムによって血圧を測定する方法は、2022年の初めに、ミズーリ大学が発表している。ここでは、指の両側に1つずつ、一対のPPGセンサーを利用した独自の指クリップが用いられた。ただし、このシステムは、年齢、性別、体重を制御する必要があるため、拡張期測定では精度が低いというのが、開発者自身の見解だった。

Valencell社は、より多くのデータによってこれらの問題を解決しているようだ。ただし、精度に関してはデータが公開されている訳ではないので、実際の所は不明だ。同社は、「高血圧対策に新たな武器を提供できる」とし、臨床現場での遠隔患者モニタリングや慢性期医療管理への利用を期待している。

Valencell社は、製品発売の時期を明らかにしていないが、FDAの認証待ちであるとのことで、1年以上かかるかもしれない。また、価格は99ドルでの販売を見込んでいる。日本での発売は未定だ。


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masapoco

TEXAL管理人。中学生の時にWindows95を使っていたくらいの年齢。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題が得意だが、テクノロジー関係の話題も大好き。最近は半導体関連に特に興味あり。アニメ・ゲーム・文学も好き。最近の推しは、アニメ『サマータイムレンダ』

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