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世界最大の電波望遠鏡の建設が開始、宇宙の起源や地球外知的生命体の探索に繋がる可能性

世界最大の電波望遠鏡である、「スクエア・キロメートル・アレイ(Square Kilometer Array, SKA)」の建造がついに始まった。

SKAは、オーストラリアと南アフリカに建設される。この高感度な次世代電波天文台は、地球上で最大級のものとなり、今から10年後の運用開始時には、天文学者に宇宙に関する最も基本的な問題を探求するための新しい手段を提供する予定だ。

オーストラリアの西オーストラリア州Wajarri Countryでは10万台以上のアンテナが設置され、南アフリカのKarooでは197台のアンテナを設置される予定だ。この地では、すでにMeerKAT望遠鏡が稼動している。SKAは、既存の望遠鏡の8倍の感度を持ち、約135倍の速さで宇宙をマッピングする見込みとのことだ。

起工式で、SKA機構事務局長のPhilip Diamond教授は、「SKA天文台の望遠鏡は、人類史上最大の科学的取り組みのひとつとなるでしょう。私は過去30年間、SKAプロジェクトに携わってきましたので、ようやく現場での建設が始まったことは、記念すべき出来事です。」と述べている。

SKA天文台が稼働すれば、その比類ない感度を活かして、何十億光年も離れた宇宙から発信される電波を検出することができる。これにより、電波天文学は新たな領域を開拓し、暗黒物質や暗黒エネルギーの謎に迫り、初期の星の誕生と消滅を記録して宇宙の初期段階を研究し、銀河の形成過程を理解することができるようになるのだ。

オーストラリアのカーティン電波天文研究所のシニア・ポスドク研究員であるDanny Price博士は、「SKAの感度を考えてみると、2億2500万キロメートル離れた火星の宇宙飛行士のポケットにある携帯電話を検出することができます。さらに興味深いことに、もし近くの星に我々と同じような技術を持つ知的社会が存在するならば、SKAはその無線・通信ネットワークからの「漏れ」放射の集合体を検出することができるでしょう。」と述べている。

この高感度は、地球外生命体の探索にも役立つかもしれない。ただし、この分解能では、最も詳細な探索は比較的近くにある星に限られるだろう。ディレクターのSarah Pierce博士は、「この望遠鏡は “数十光年先の”惑星の空港レーダーを発見することができる」とThe Guardianに語っている。

SKAの建設作業は2028年までかかる見込みだ。そして、実際に科学者が結果を収集し解読するにはその後しばらく時間がかかるだろう。しかし、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡と同様に、大きな利益をもたらすと期待されている。SKAは電波天文学の「次の50年」を形成することだろう。

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masapoco

TEXAL管理人。中学生の時にWindows95を使っていたくらいの年齢。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題が得意だが、テクノロジー関係の話題も大好き。最近は半導体関連に特に興味あり。アニメ・ゲーム・文学も好き。最近の推しは、アニメ『サマータイムレンダ』

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