中国企業がシリコンの10倍の性能を目指すグラフェンベースチップ開発のためのコンソーシアムを設立

masapoco
投稿日
2022年11月24日 16:02
graphene image

中国では、既存のシリコンベースのチップに変わるグラフェンベースの技術を実現すべく活発な研究が行われている。今回、中国国際グラフェンイノベーション会議ではグラフェンベースの技術の活用について議論が行われ、これらの問題に取り組むためのコンソーシアムを設立したようだ。

シリコンベースの半導体について、微細化の限界が近付いており、各社はその代替材料や代替技術の開発リソースを注いでいる。

代替材料の有力候補と考えられているのが、グラフェンだ。原子1つ分の厚さしかない、炭素原子のみから構成されるシート状物質のことである。グラフェンは、表面が電子を散乱させる不純物で構成されているため、電気伝導度が非常に優秀なのだ。性能面では、シリコンベースのチップと比較して、グラフェンは10倍の性能を持ち、消費電力も低い。今後、Chint Group、上海電線研究所、上海グラフェン産業技術機能プラットフォームなど、多くの機関が連携して、グラフェンを用いたチップの実用化を目指していく予定とのことだ。

グラフェンは電気伝導性のみならず、熱伝導性にも優れており、今後は効率の良いバッテリーの開発などにも欠かせないものとなる有望な素材だ。

ちなみに、実際にグラフェンを使ったトランジスタについては、IBMが2010年に周波数が100GHzという高速で動作するグラフェンウェハーを開発している。同社によると、500~1000GHzのトランジスタ周波数を達成するチップの製造も可能であるとのことだ。

現在、半導体チップに用いられているシリコンに代わるものとしてグラフェンを研究している企業が多数存在することで、TSMCとSamsungが寡占状態で支配している市場において、その独占を打破することが期待されている。

半導体チップにおけるグラフェンの最も大きな限界は、製造と開発のコストにある。グラフェンを使ったチップは製造が複雑で、作成に高いコストがかかる。理論導入から数年が経過しているが、グラフェンチップの量産を世界に先駆けて開始できる安定したレベルは得られていない。



この記事が面白かったら是非シェアをお願いします!


  • MSI Project 491C Worlds First QD OLED Super Ultra Wide 240Hz Gaming Display 2 very compressed scale 4 00
    次の記事

    MSI、240Hzパネルを搭載した世界初の超ウルトラワイドQD-OLED湾曲型ゲーミングディスプレイ「Project 491C」を発表

    2022年11月24日 17:56
  • 前の記事

    ファーウェイがEUVリソグラフィスキャナの特許申請、メイドイン中国チップの野望の可能性

    2022年11月24日 14:24
    lithography elements wafer and reticle mask

スポンサーリンク


この記事を書いた人
masapoco

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


おすすめ記事

  • Loongson 3D500 HPC CPU For China Domestic Server Market Launch Chip Shot 1 scaled 1

    勢いを増す中国のチップ産業 – 世界の経済と安全保障の展望を変える可能性

  • semiconductor wafer

    中国がチップ製造技術を盗んでいると台湾は厳しく非難

  • Qualcomm Headquarters La Jolla

    Qualcomm、Snapdragon 8 Gen 5のファウンドリ選択のためTSMCとSamsungにサンプルを依頼

  • 26c6a775beb2173ddf4c6265b731e234

    画期的な新素材「GST467」が、夢のユニバーサル・メモリ実現を現実の物とする

  • Samsung Semiconductor Chip Plant Pyeongtaek Campus South Korea

    Samsung、AI企業から大型の2nm AIチップ開発契約を獲得

今読まれている記事