ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は「笑いガス」を探すことで地球外生命体を発見する事が出来るかも知れない

(Credit: ESO/M. Kornmesser)

スポンサーリンク

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)はこれまでに、その驚嘆すべき性能で数多くの新発見をもたらしてくれたが、その素晴らしい性能自体が今後の宇宙探査についての新たな視点をもたらしてくれる事も多い。

今回、天文学者はJWSTを運用して太陽系外惑星の大気中に存在するバイオシグネチャー(生命の痕跡)を探すために、一般に笑気ガスとして知られている亜酸化窒素(N2O)を探すべきであるという新しい研究結果が発表されたのだ。

カリフォルニア大学リバーサイド校の主執筆者Eddie Schwieterman(エディ・シュウィーターマン)氏は、「生物学的特徴として、酸素とメタンについて多くの考察がなされてきました。亜酸化窒素を真剣に考える研究者は少ないが、我々はそれが間違いかもしれないと考えています。」と述べている。

地球上では、亜酸化窒素は生物の自然な廃棄物であり、副産物である。微生物は、窒素化合物を硝酸塩に分解し、その過程で代謝エネルギーを放出する。時間とともに多くの硝酸塩が産出されるが、ある種のバクテリアは硝酸塩を非常に好み、さらに代謝的に分解して亜酸化窒素を生成する。特に、亜酸化窒素はJWSTで検出可能な近・中間赤外線の吸収線を作るので、惑星の大気中に亜酸化窒素が豊富にあれば、強いバイオシグネチャーとなるのだ。

Schwieterman教授と彼の研究チームは、39光年離れたTRAPPIST-1系の惑星の大気中に、JWSTが検出できる量の亜酸化窒素が存在しなければならないかをモデル化した。その結果、地球の大気中の二酸化炭素やメタンと同程度の量の亜酸化窒素が検出されることが判明した。

ただ、現在の地球の大気組成に目を向けると、亜酸化窒素の占める割合は二酸化炭素やメタンよりも少ない。なぜあえて亜酸化窒素に目を向ける必要があるのだろうか?

これは、地球の年代で言う「原生代」の大気組成に目を向けた探索だからである。原生代は、地球の大気が酸素化され、複雑な生命体が出現するまでの期間だが、この時代に大気中には現在よりも多くの亜酸化窒素が多くあったと予想される。それを探そうというのだ。

さらに、TRAPPIST-1のような、冷たくて暗いM矮星の周りを回る惑星系は、M矮星が太陽のような大量の放射線を放出しないため、亜酸化窒素分子を分解しやすいという利点もあるという。

JWSTが検出しやすい物質に目を向けて探索することで、より確実なバイオシグネチャーを発見する事が出来る様になるかも知れない。

研究の要旨

亜酸化窒素(N2O)は、微生物の窒素代謝の産物であり、近・中間赤外線に特徴的なスペクトルを持ち、地球上ではわずかな生物起源しかないことから、外惑星のバイオシグネチャーガスとして有力視されている。これまでの研究では、地球と同様のN2O混合比や地表フラックス、あるいは地球の地質学的記録から推定されるN2Oのシナリオが検討されてきた。しかし、金属触媒がない場合や、N2OからN2を生成する脱窒代謝の最終段階が進化していない場合、N2Oの生物学的フラックスは大幅に増加する可能性がある。ここでは、光化学モデルやスペクトルモデルと組み合わせた地球規模の生物化学モデルを用いて、主系列星を周回する地球型惑星のN2O組成とスペクトル検出の限界について系統的に定量化する。我々は、地球の歴史に適合する酸素条件(1%-100%の大気レベル)とN2Oフラックス(0.01-100 teramole per year; Tmol = 1012 mole)の範囲において、N2O蓄積量を調査した。その結果、10 [100] Tmol yr-1のN2Oフラックスは、地球と太陽の類似天体では約5 [50] ppm、K矮星後期の地球では90 [1600] ppm、地球型TRAPPIST-1eでは30 [300] ppmのN2O濃度をもたらすことがわかりました。現在および将来の宇宙望遠鏡に関連する、中間濃度および最大濃度のN2Oの発光および透過スペクトルをシミュレートする。JWSTによるTRAPPIST-1eの高フラックスシナリオでのN2Oスペクトル特徴の検出可能性を計算する。また、化学脱窒素や恒星活動による生物学的生産など、誤検出の可能性を検討し、観測されたN2Oの生物起源を確認または否定するための主要なスペクトルおよび文脈上の識別要因を特定する。

TEXALでは、テクノロジー、サイエンス、ゲーム、エンターテインメントなどからその日の話題のニュースや、噂、リーク情報、レビューなど、毎日配信しています。最新のニュースはホームページで確認出来ます。GoogleニュースTwitterFacebookでTEXALをフォローして、最新情報を入手する事も出来ます。記事の感想や、お問い合わせなども随時受け付けています。よろしくお願いいたします。

スポンサーリンク

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA